大谷廣次 (5代目)

五代目 大谷廣次

五代目 大谷廣次（ごだいめ おおたに ひろじ）は、幕末から明治初期にかけて活躍した重要な歌舞伎役者の一人です。彼は天保4年（1833年）に江戸に生まれ、父は四代目大谷友右衛門という歌舞伎の世界に育ちました。家族の影響を受け、若くして舞台に立つことになります。

来歴の詳細

大谷廣次の初舞台は、天保9年（1838年）11月に行われ、当時の名は大谷友松でした。その後、彼は五代目大谷鬼次の名を名乗り、さらには父の死を受けて五代目大谷友右衛門を襲名します。これにより、彼は歌舞伎の世界で名跡を継承し、さらなる活躍へと繋がりました。

慶応元年（1865年）には江戸に移動し、守田座での公演に参加し、その後、明治2年（1869年）8月に大谷紫道と名乗るようになります。明治4年には大坂に戻り、再び五代目大谷廣次を襲名し、東京に戻るものの、その後の舞台出演は叶いませんでした。享年41歳でした。

舞台での存在感

大谷廣次は、五代目友右衛門時代に江戸の三座を掛け持ちで勤めた人気の役者です。特徴的なのは、やや肥満体ながらも立派な容貌で威厳があり、尚且つ華奢な体格を持っていたことです。彼の演技は多才であり、立役から敵役、女形や老役まで幅広くこなすことができました。

特に、彼が好んで取り組んだ演目には『奥州安達原』の「袖萩祭文」、「菅原伝授手習鑑」、そして『仮名手本忠臣蔵』などの丸本物が含まれています。これらの作品における彼の表現力や演技力は高く評価され、観客の心を捉え続けました。

大谷廣次の影響と遺産

また、彼の容貌や演技スタイルは、同時代の歌舞伎役者たちからも一目置かれ、「九代目市川團十郎の夫人がうらやむほど」とも言われています。これにより、彼は歌舞伎界において確固たる地位を築くことができたのです。

大谷廣次は実力派の役者であり、彼の名跡「大谷鬼次」の名乗りについては、その詳細は不明ですが、その存在感と演技力は今なお語り継がれています。彼の貢献は、現代の歌舞伎にも影響を与え、多くの役者たちにその名が知られています。

参考文献

最後に、彼に関する詳細な情報は、野島寿三郎編の『歌舞伎人名事典』（新訂増補）を参照することをお勧めします。これによって、五代目大谷廣次の生涯や業績について、さらなる理解を深めることができるでしょう。

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