大貫惇睦

大貫 惇睦（おおぬき よしちか）

大貫惇睦は、1947年9月1日に栃木県で誕生した日本の物理学者であり、特に物性物理学において優れた業績を持つ研究者です。彼は大阪大学の名誉教授であり、2000年代には21世紀COEプログラム「究極と統合の新しい基礎科学」の拠点リーダーとしても活躍しました。1976年に東京大学で理学博士の学位を取得し、その後、日本の大学や研究機関で数多くの教育及び研究活動を行いました。

大貫の専門は物性物理学で、その中でも特に重い電子系という分野に重点を置いて研究を進めています。彼の最大の業績の一つは、絶対零度でも磁気秩序が生じない物質、CeCu6の発見です。この発見は、物性物理学における重要な意味を持っており、彼の名声を高める要因となりました。

CeCu6の特性は、通常、磁性を持つ不純物を含む金属材料が低温で電気抵抗が増加するのに対し、この物質は逆に極低温で電気抵抗が減少する点です。このユニークな性質から、CeCu6は重い電子系の典型的な例として、超伝導や磁性の研究において重要な研究対象となっています。重い電子系の特性を理解するためには、この物質の研究が不可欠であると考えられています。

学歴と職歴

大貫は、栃木県立鹿沼高等学校を卒業後、1971年に京都大学工学部金属加工学科を卒業しました。その後、1973年には同大学院の金属加工学専攻で修士号を取得し、1976年には東京大学大学院理学系研究科で「鉛のマイクロ波分光学的研究」にて理学博士を取得しました。

彼の学術キャリアは、教育機関での非常勤講師からスタートし、1977年には日本学術振興会の奨励研究員となり、東京大学物性研究所にて研究を行いました。その後、埼玉工業大学や筑波大学で講師や助教授を務め、1994年には筑波大学教授に就任しました。1994年以降、大阪大学で教授として教育に従事し、2008年から2012年まで日本物理学会の会長としても活動しました。

受賞歴

大貫はその業績に対し数々の受賞歴があります。1989年には「重い電子系の典型物質の合成とその物性の実験的研究」が評価されて日本IBM科学賞を受賞。また、1992年には仁科記念賞を獲得し、2008年には紫綬褒章を受け、2020年には瑞宝中綬章を受賞しています。

著書

彼はまた、多数の専門書も執筆しており、代表的な著書には『物性物理学』、重い電子系に関する『重い電子系の物理』、さらには『物理学への誘い』などがあります。これらの著書は物理学の普及に寄与しており、多くの学生や研究者の間で広く読まれています。

大貫惇睦の業績は、物質科学や物性物理学の発展に大きく貢献しており、今後も彼の研究が新たな発見につながることが期待されています。

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