大賀一郎

大賀 一郎について

大賀 一郎（おおが いちろう、1883年4月28日 - 1965年6月15日）は、日本の著名な植物学者であり、特に古代ハスに関する研究で知られています。彼は岡山県に生まれ、植物学の分野において多くの功績を残しました。彼の業績は、科学界だけでなく、一般社会にも影響を与えており、その影響は今なお続いています。

生い立ちと教育

大賀は1883年に岡山県賀陽郡に生まれました。若いころ、岡山中学校を卒業したものの、チフスにかかり進学を断念することとなりました。1902年に第一高等学校二部に入学し、その後東京帝国大学理学部に進学しました。1909年に大学を卒業し、大学院に進むと、植物細胞学を専門とし、特にハスに関する研究を行い始めました。この過程で、内村鑑三の影響を受けて無教会主義のキリスト教に入信しました。

教職と研究

1910年、大賀は第八高等学校の講師として教鞭をとり、翌年には同校の生物学教授に就任しました。その後、1917年には満州の大連に赴き、南満州鉄道中央研究所の植物班の主任として古ハスの実の研究を行いました。この研究が彼の学問的キャリアの中で特に重要な位置を占めました。1927年には、研究成果をまとめ「南滿州普蘭店附近の泥炭地に埋没し今尚生存せる古蓮實に関する研究」を発表し、東京大学理学博士の学位を取得しました。

しかし、彼は満州事変に対する抗議の意を表明し、研究所を退職。以降は東京女子大学や東京農林専門学校、関東学院大学などで教育活動を続けました。

古代ハスの発見

1951年、大賀は千葉県の東京大学検見川厚生農場で、2,000年以上前の古代のハスの実を発見しました。この発見は日本国内外で大きな話題を呼び、同年5月にはその実が無事発芽、さらに翌年には美しい花を咲かせました。このハスは「大賀ハス」と名付けられ、特に1952年11月3日の米国の写真報道誌『ライフ』でも取り上げられ、世界的に大きな注目を浴びました。

著書と翻訳

大賀はその生涯に多くの著作を残しました。代表的な著書には『ハスを語る』や『ハスと共に六十年』などがあり、これらは彼の研究成果や植物に対する情熱が反映されています。また、彼は外国文献の翻訳も行い、植物学の分野における国際的な交流に寄与しました。特に『植物生理学』や『植物と水 水分平衡と耐旱性の研究』の翻訳は、当時の科学界にとって重要な資料となりました。

追悼と遺産

大賀一郎は1965年に亡くなり、多磨霊園に埋葬されました。彼の死後も、彼の業績は多くの人々に語り継がれています。彼をしのぶ文集『蓮ハ平和の象徴也 大賀一郎博士を偲ぶ』が刊行されるなど、彼の学問と人生は今日でも多くの研究者に影響を与えています。大賀のハスは現在、千葉公園や東京大学の緑地植物実験所で見ることができ、多くの人々に愛されています。

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