大越成徳

大越成徳

大越成徳（おおこし なりのり）は、幕末から明治にかけて活躍した日本の外交官です。彼は、激動の時代の中で、リヨン領事、ロンドン総領事代理、上海総領事、ブラジル駐箚弁理公使兼総領事、アルゼンチン駐箚公使など、要職を歴任し、国際社会における日本の地位向上に貢献しました。

生い立ちと初期のキャリア

1856年、江戸に生まれた大越は、幼名を千太郎といいました。父は幕府の役人でしたが、幕府が倒れたことで家計は困窮しました。しかし、洋学を学んだ母親の影響で、外国語に興味を持ち、外務省の洋語学所に入学、フランス語を習得します。その後、外務省で翻訳や通訳の仕事に従事し、その才能を開花させました。

渡欧と経済学研究

1876年、大越は在英国公使館に書記として赴任しました。当初は関税自主権の回復を目指す活動に携わっていましたが、ロンドン大学で経済学を学ぶうちに、保護貿易に疑問を抱き、自由貿易を支持するようになりました。帰国後、『外国貿易拡張論』を著し、その主張を明確にしました。

外交官としての活躍

大越は、ロンドン、リヨン、上海など、各国の要職を歴任しました。上海総領事時代には、金玉均暗殺事件において、犯人の引き渡しを求めるなど、毅然とした態度で外交交渉にあたりました。また、ブラジルやアルゼンチンでは、駐箚弁理公使兼総領事として、移民問題や経済交流に尽力しました。

南米勤務と晩年

ブラジル駐在時、大越はコーヒー価格の暴落による恐慌を目の当たりにし、移民政策に慎重な姿勢を示しました。また、現地で幅広い交友関係を築き、生涯で最も幸福な時期を過ごしたとされています。晩年は、健康を害し、1923年にその生涯を閉じました。

栄典と著書

大越は、その功績から、勲三等瑞宝章など、数々の勲章を受章しました。また、『外国貿易拡張論』など、国際貿易に関する著作を多数残しました。

家族

大越は、スペイン・イギリス混血のカーメン・アギーレーと結婚しました。彼女との間に、貞蔵、稲子、広男の三人の子供をもうけました。

大越成徳は、激動の時代において、国際的な視野を持って日本の外交に貢献した人物です。彼の業績は、今日においても高く評価されています。

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