大迫嘉昭

大迫嘉昭の冒険と業績

大迫嘉昭（おおさこ よしあき、1939年生まれ）は、日本人初の自費によるバイクでの世界一周旅行を達成した冒険家です。その旅は1968年に始まり、約30カ国を巡りながら走行距離は35,000kmにも及びました。彼の旅は単なる観光に留まらず、歴史的な出来事とも交差し、彼自身の人生に多大な影響を与えました。

経歴と背景

兵庫県神戸市で生まれた大迫は、1958年に兵庫県立夢野台高校を卒業後、関西大学法学部へ進学しました。1962年に大学を卒業し、大阪の電鉄系旅行会社に就職しましたが、1964年の東京オリンピックや海外渡航の自由化を視野に入れ、英語を学ぶためにカリフォルニア州へ留学しました。ここでの生活は彼にとって新たな冒険の始まりでした。

留学中、大迫は冒険家の植村直己と同時期にカリフォルニアで生活をし、ジョン・スタインベックの名作『怒りの葡萄』の舞台となった土地や、そこでの仕事を通じて多くの人々と出会いました。アメリカでは、Hondaのバイクがブームになり、「Beach Boys」の楽曲が流行していた1964年が、彼の人生の分岐点となりました。

世界一周の旅

1968年5月19日、大迫はロサンゼルスから自費でのバイク旅行をスタートします。彼が選んだのは、ヤマハのYM1という305ccのバイクで、混合燃料仕様です。この旅の目的は、世界各国の名所見学を通じて、自らの経験を積み、観光業界でのキャリアに役立てることでした。旅行中は、米国の社会的情勢や文化にも触れ、その影響を受けながら進んでいきます。

彼は6月8日、ニューヨークで歴史的なロバート・ケネディの葬儀に参列し、その後は客船で大西洋を渡ることになります。ヨーロッパでは、パリのエッフェル塔の下で著名な建築家安藤忠雄氏と出会い、彼自身の視野を広げる契機となりました。その後も、東南アジアを含む約30カ国を旅し、様々な文化や人々と出会った経験が、彼の人生に彩りを加えていきました。

帰国とその後

無事に1988年12月に帰国した大迫は、ルフトハンザ航空やシティバンク東京での勤務を経て、彼の経験を基にした著作を発表しています。主な著書には『カリフォルニ’60年代の記憶を訪ねて』や『人生の途中下車』、さらに『1968年のバイク世界一周旅行』などがあり、彼の旅や経験を多くの人と共有しています。

大迫嘉昭は、自らの冒険を通じて世界の多様性を体感し、観光業界でのキャリアにおいてもその経験を活かしています。彼の挑戦は、先駆者として後に続く旅行者たちへのインスピレーションを与え続けています。

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