大野 秀敏(おおの ひでとし)について
大野秀敏は、
1949年に
岐阜市で生を受けた日本の著名な
建築家および都市構想家です。彼は
東京大学の名誉教授であり、2015年からはアプルデザインワークショップの代表を務めています。彼の学問的な背景は
東京大学の
建築学科にあり、名匠たちとの出会いや経験を重ねています。
学生生活からの途上
東京大学建築学科では、芦原義信や香山壽夫、稲垣栄三の指導の下で学びました。修士課程を終えた後、
建築家槇文彦の事務所で実務を積み、その後1983年から
東京大学の助手として教職に就きました。
助教授や教授に昇進し、その間に新領域創成科学研究科の立ち上げに参加。彼の研究は都市の未来に焦点を当て、さまざまな課題に向き合ってきました。
ファイバーシティの提案
大野は、21世紀を縮小の時代と位置付ける中で、「ファイバーシティ」なる新たな都市モデルを提唱しました。初めてこの概念が提起されたのは
2005年で、以降都市の衰退や縮小に関する議論を引き起こしました。特に、2006年には「fibercity tokyo/2050」という研究を通じて、東京の未来の姿を描きました。この研究では、インフラの用途変更や再利用を通じて都市機能の向上を目指しています。
地方都市への視点
大野の研究は、都市だけでなく地方にも関心を寄せています。
2008年から新潟県長岡市をケーススタディとして地方都市の未来についての研究も行い、2016年には『ファイバーシティ縮小の時代の都市像』を著しました。これらの著作は日本語と英語で発表され、国際的にも評価が高いものとなっています。
交通の未来
未来の都市構想には交通も欠かせません。2015年には『小さい交通が都市を変えるーマルチモビリティシティをめざして』を発表し、歩行と自動車の中間に位置する移動手段の必要性について言及しました。この書籍は、新たなモビリティの概念を広めるきっかけとなり、全国のさまざまな地域で小さな交通の普及を目指したフェアが開催されるようになりました。
社会的活動
大野は、公共の利益を考える市民運動にも積極的に関与しています。新国立競技場の計画には問題点があったとし、彼は
槇文彦や中村勉と共に「槇グループ」として活動し、計画の見直しを促す重要な役割を担いました。
設計活動
設計活動においては、
1985年にアプル総合計画事務所を設立し、建築部門を独立させて
2005年にアプルデザインワークショップに改組しました。彼のデザインはモダニズムに基づきつつも、柔軟性を持ち、多様な条件に対応した作品が多くの賞を受賞する要因となっています。
経歴のまとめ
1949年に岐阜で生まれ、
東京大学を卒業し、その後大学院で学びました。大野は、
建築学科での助手から
助教授、教授へとキャリアを積み重ね、2015年に定年退職。今日もなお、設計と研究の双方で活躍し続けている彼は、日本の建築界に不可欠な存在です。
おわりに
大野秀敏は、国内のみならず海外でもその存在感を示す
建築家として、多くの人々に影響を与えてきました。未来の都市社会に向けた彼のビジョンは、今後も私たちに新たな示唆を与え続けることでしょう。