大野義夫

大野 義夫（おおの よしお）

1946年生まれ。日本の工学者であり、慶應義塾大学名誉教授を務める。工学博士の学位を持ち、教育機関においては慶應義塾大学理工学部情報工学科教授や、慶應義塾高等学校校長を歴任するなど、多方面で活躍した。

経歴と学歴

東京都出身。慶應義塾大学において、その学問的なキャリアを築いた。1968年に同学工学部管理工学科を卒業後、大学院に進学。1970年に工学研究科管理工学専攻の修士課程を修了し、さらに1973年には理工学研究科管理工学専攻の博士課程を修了した。その後、1986年には慶應義塾大学より工学博士の学位を授与された。博士論文の題目は、「折れ線や多面体のための平滑化アルゴリズム」に関するものであった（原題："A smoothing algorithm of polygonal curves and polyhedral surfaces"）。

研究と教育

研究者としての専門分野は、コンピュータグラフィックス、形状モデリング、レンダリングアルゴリズムといった情報科学技術の根幹に関わる領域である。これらの分野において、慶應義塾大学理工学部情報工学科の教授として、長年にわたり研究活動を行い、後進の指導にあたった。また、大学における教育・研究活動に加え、慶應義塾高等学校の校長としても学校運営に携わり、初等・中等教育の振興にも貢献した。

学会活動

様々な学術団体において要職を歴任し、学術分野の発展に尽力した。芸術科学会では副会長を務め、また日本ソフトウェア科学会では理事や学会誌編集委員を歴任した。特に、日本ソフトウェア科学会の英文学会誌『Advances in Software Science and Technology』においては、創刊から休刊に至るまでの6年間、Executive Editorという重責を担い、学会誌の編集・運営に深く関わった。さらに、コンピュータグラフィックスに関する著名な会議であるNICOGRAPHの論文コンテストでは、創設当初から現在に至るまでの18年間、継続して論文委員を務めており、研究論文の質向上と若手研究者の育成に貢献し続けている。

標準化への貢献

情報技術分野における標準化活動にも顕著な貢献を果たしている。国際標準化機構（ISO）および国際電気標準会議（IEC）の合同技術委員会であるISO/IEC JTC 1|ISO_IEC JTC 1/SC 1（情報技術用語）の国内委員長として、数多くの国際規格の制定作業に参画した。また、日本の国家規格であるJIS（日本産業規格）においても、情報技術用語に関する多くの原案作成委員長を務め、国内の標準化推進に貢献した。これらの功績が認められ、2001年には情報規格調査会より標準化貢献賞を受賞している。現在もJIS用語委員会の委員として、情報規格分野で用いられる技術用語の審査に携わり、標準化活動の第一線で活動している。

研究プロジェクトへの参加

慶應義塾大学が進めた大型研究プロジェクトにも中心メンバーとして参加した。文部科学省が推進した21世紀COEプログラムにおいて、「アクセス網高度化光・電子デバイス技術」に関するプログラムが採択され、大野氏はその採択メンバーの一員として、情報・電気・電子分野における最先端研究を推進した。

長年にわたり、教育、研究、学会活動、そして情報技術の標準化といった多岐にわたる分野でリーダーシップを発揮し、日本の情報科学技術の発展に寄与してきた人物である。

関連情報

大野/藤代研究室（慶應義塾大学）
21世紀COEプログラム・アクセス網高度化光・電子デバイス技術

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