大阪アジアン映画祭

大阪アジアン映画祭：アジア映画の新たな潮流

大阪アジアン映画祭（Osaka Asian Film Festival、略称：OAFF）は、毎年3月（2005年から2007年は11月）、大阪市で盛大に開催される国際映画祭です。アジア各国、そしてアジアに関連する映画作品を上映し、アジアの映画文化を深く掘り下げる機会を提供しています。

歴史：日韓友好からアジアへの架け橋へ

映画祭の起源は2005年、日韓国交正常化40周年を記念して開催された「韓国エンタテイメント映画祭2005 in大阪」に遡ります。当初は韓国映画に焦点を当てていましたが、翌2006年には名称を「大阪アジアン映画祭」に変更、香港、中国、日本の作品も上映されるようになりました。その後、上映作品は東南アジア、南アジアへと範囲を拡大し、現在ではアジア全域の多様な映画文化を網羅する一大イベントとなっています。

2009年には、映画評論家の暉峻創三氏がプログラミング・ディレクターに就任。「大阪発。日本全国、そしてアジアへ！」をテーマに、日本初上映作品や新進気鋭の監督の作品にスポットライトを当て、アジア映画シーンの発掘・育成に力を入れ始めました。この頃から、おおさかシネマフェスティバルとの同時開催や観客賞の新設など、映画祭の規模と質の向上が図られてきました。

2011年にはコンペティション部門とグランプリが新設され、より本格的な映画祭としての体裁を整えました。また、シネアスト・オーガニゼーション大阪（CO2）との連携を通して独立系映画の上映・交流を促進してきたアジアン・ミーティング大阪は、2012年にCO2事業と統合され、インディ・フォーラム部門として発展を遂げています。

その後も、薬師真珠賞（2015年）、JAPAN CUTS Award（2016年）、芳泉短編賞（2018年）といった新たな賞が創設され、多様な映画作品への評価・支援体制が強化されています。2020年からは、観客に新しい発見を提供する特別注視部門も新設されました。

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、2020年から2022年にかけてはオンライン上映が導入され、劇場上映に加えて、過去の上映作品をオンラインで配信する「大阪アジアン・オンライン座」を開設することで、地理的な制約を超えた映画体験の提供にも取り組んでいます。劇場上映における舞台挨拶などのイベントは、感染症対策のため、一部制限がありましたが、2023年には再開されました。

会場と発展：大阪から世界へ発信

映画祭のメイン会場は、開催当初はリサイタルホールやそごうホールが使用されていましたが、2009年以降はABCホールを主に使用しています。2023年には大阪中之島美術館が新たな上映会場に加わりました。

映画祭の構成：多様な部門と企画

OAFFは、コンペティション部門を軸に、特別招待作品、インディ・フォーラム、そして毎年テーマが変わる様々な特集企画で構成されています。特集企画では、特定の国や地域、監督、テーマに焦点を当てた作品群が上映され、多角的な視点からアジア映画を鑑賞できるよう工夫されています。

コンペティション部門では、グランプリ（最優秀作品賞）を始め、来るべき才能賞、ABC賞、最優秀女優賞、最優秀男優賞、スペシャル・メンションなど、様々な賞が授与されます。また、観客賞は、観客の投票によって選出される人気投票であり、多くの観客に支持された作品を表彰するものです。

未来：更なる発展への展望

OAFFは、アジア映画の魅力を伝えるだけでなく、新進気鋭の監督の発掘・育成、そしてアジア各国の映画人同士の交流の促進といった役割を担っています。今後、更なる発展を遂げ、アジアを代表する国際映画祭としての地位を確固たるものにすることが期待されます。

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