大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票

大阪市廃止・特別区設置住民投票の概要

この住民投票は、2020年11月1日に行われ、大阪市を廃止して4つの特別区を設置するという「大阪都構想」の実現についての賛否を問いました。この投票は、大阪維新の会が推進する政治的な構想として、多くの討論と論争を招きました。略称は「大阪市廃止・特別区設置住民投票」です。

投票の概要

大阪市の解体を支持するこの案は、現在の市を4つの特別区に再編する内容で、特別区庁舎は新設せず、既存の市役所と区役所を利用するとしています。また、大阪府は特別区設置からの10年間にわたり、毎年20億円の補助金を各特別区に提供する予定でした。教育や福祉の業務は特別区に移管される一方、都市計画やインフラ整備のような広域行政は府に移されるという計画でした。

施行までの過程

住民投票の実施は、2020年8月28日に大阪府議会、9月3日に大阪市議会の承認を経て決定されました。大阪市選挙管理委員会は、投票日を11月1日に設定し、選挙人名簿には約223万6千人が登録されました。

前回の2015年の住民投票とは異なり、今回は投票用紙に「大阪市を廃止する」と明記され、投票の明確性が増しました。特別区設置に賛成する場合には「賛成」、反対する場合は「反対」と記入し、平仮名やカタカナも有効とされました。

政党の立場

賛成派には大阪維新の会や、公明党、大阪府の自民党の一部が含まれました。特に公明党は反対から賛成に転じ、街頭演説に共に立つなどしています。一方で、反対派には自民党や立憲民主党、日本共産党、社会民主党など、多くの政党が名を連ねました。無党派層では反対意見が多く、特に女性や高齢者において反対の傾向が強く見られました。

選挙活動と広報の取り組み

住民投票に対する広報戦略も注目されました。大阪市選挙管理委員会は、投票を促すポスターにヒョウの写真を使用したり、啓発カーを運行したりして、市民の参加を呼びかけました。しかし、住民説明会は新型コロナウイルスの影響で数を減らし、オンラインでの説明が主流となりました。

大阪市の広報紙では、特別区設置に関する賛成意見が強調されがちで、デメリットについての議論が不足しているとの批判も寄せられました。また、特別区設置の初期費用や運営コストについて説明が求められる場面がありましたが、行政側の回答が不十分であったとの意見もありました。

投票結果とその後

結果は反対多数に終わり、前回の住民投票に続き、大阪都構想は否決されました。松井一郎市長は結果を受けて政界からの引退を表明し、吉村知事も同様の発言をしました。選挙後、都構想に代わる行政の一元化に関する条例案が提出されるなど、政治的な動きは続いています。

結論

この住民投票は、大阪市の未来についての重要な選択であり、また市民の行政に対する意識を示すものでもありました。賛成派と反対派の意見が交錯する中、大阪都構想の実現は次なる課題として残り、今後もその議論は続くことが予想されます。

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