大阪市交通局1701形電車

大阪市交通局1701形電車

大阪市交通局1701形電車は、大阪市が運営する路面電車にかつて存在した車両群のことを指します。これらは、1942年から1948年にかけて製造されたもので、1701形、1711形、1751形という3つの型に分類されます。いずれの型も、基本的な構造やデザインは類似しており、台車や電装品も共通のものが使用されていました。今回はこれらの車両に焦点を当て、その歴史や特徴を詳しく解説します。

製造の背景

大阪市交通局1701形電車の登場は、日本が第二次世界大戦の影響を受けていた時期にさかのぼります。1938年、日本の国家総動員法が施行され、それにより物資の配分や利用が軍需優先へとシフトしていきました。この影響で、民間交通機関は多くの苦境に立たされ、ガソリンや軽油が十分に供給されない状況が続きます。

大阪では、1938年に市営交通の整備が進められ、民間のバス事業を買収することで市営バスの運行を強化しました。しかしながら、戦時色が濃くなった時期には、バス事業の維持が困難となり、路面電車への利用が増加していきました。そのため、市電の輸送力を確保することが急務となったのです。

このような背景の中、1701形の鋭意製造が開始されました。この車両は、戦前最後の新造車両として、1942年に登場しました。1701形は、電車の輸送能力を高めるために設計された大型ボギー車であり、その導入は戦争の影響を受けて増加する市電利用者を支えるための重要な施策だったのです。

各型の詳細

1701形は、1942年に田中車輌と木南車輌によって合計18両が製造されました。その後、1711形は1947年から1948年にかけて40両が生産され、さらに1751形は1948年末から1949年にかけて40両が製造されました。1701形は、13.7メートルの長さを持ち、側面と前面の窓配置は1581形と共通しています。

1711形の特徴としては、ドアの形式が変更され、引き戸が採用されている点があります。この設計変更により、乗客の乗り降りがしやすくなりました。また、1711形では内装に木製のベンチが用いられ、当時の物資不足に反映したデザインです。対して1751形は、使用する部品の品質が向上し、トロリーポールがシングルポールになったことが特筆されます。

運用と利用

1701形は、戦時中に登場し、主に軍需工場で働く労働者の輸送を担うために活躍しましたが、戦後は早急な復興を求められる中で市民の足として大いに役立ちました。途切れることのない需要に応えられる性能が求められ、1701形の電動車両は効率的に設計されていました。特に1701形の折戸が、満員時に便利であった一方、1711形の引き戸のほうが乗客の流れをスムーズにする役割を果たしました。

1701形の好評を受け、その後も市電の車両は運行され続けます。最終的には1968年に全車両が廃車され、残されたうちの6両が長崎電気軌道に譲渡されました。大阪市電の歴史において、これらの車両が果たした役割は非常に大きいと言えるでしょう。

まとめ

1701形電車は、大阪市の交通の発展や市民生活に深く関わってきた存在であり、その歴史は戦争や復興と密接にリンクしています。これらの電車は、単なる公共交通機関の一部ではなく、その時代を反映した社会の動きや市民の暮らしとも深く関わっていました。日本における路面電車の進化の一端を担った1701形電車は、今後も記憶に残る存在であり続けるでしょう。

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