大阪市立弘済院

大阪市立弘済院：歴史と現状、今後の展望

大阪市立弘済院は、大阪府吹田市古江台に位置する、大阪市が運営する高齢者福祉施設および病院の総称です。ここでは、その歴史、現状、そして今後の展望について詳しく解説します。

歴史

弘済院の歴史は、1911年（明治44年）に大阪府知事、大阪市長、大阪朝日新聞社長、大阪毎日新聞社長らが発起人となり、「財団法人弘済会」の設立を申請したことから始まります。翌1912年（大正元年）に内務大臣の許可を得て設立されました。

設立当初の事業として、経営難に陥っていた小林授産場を買収し、100人の入所者を継承しました。その後も、積極的に民営事業を吸収し、1913年（大正2年）には財団法人大阪慈恵病院を吸収合併するなど、事業を拡大していきました。

1941年（昭和16年）には「財団法人大阪市弘済会」と改称し、大阪市との関係をより明確にしました。そして、1944年（昭和19年）には、社会事業体制の確立を理由に、すべての事業が大阪市に継承され、「大阪市立弘済院」が誕生しました。

近年では、認知症高齢者の増加に対応するため、1990年（平成2年）に認知症専門棟である第2特別養護老人ホームを開設し、2005年（平成17年）には第1特別養護老人ホームの建て替えを行うなど、施設の充実を図っています。

現在の施設

現在の弘済院は、以下の施設から構成されています。

養護老人ホーム（施設名：「老人ホーム」）
第1特別養護老人ホーム
第2特別養護老人ホーム
附属病院

第1特別養護老人ホームには指定管理者制度が導入されており、2011年（平成23年）からは社会福祉法人みなと寮が指定管理者として運営を行っています。

今後の展望

大阪市は、巨額の財政赤字を抱える中、歳出抑制のため各種事業の見直しを進めており、弘済院もその対象となっています。

2007年（平成19年）には、経営形態の見直し案として、施設ごとに公設民営化や民間委譲を検討する案、または3施設をまとめて独立行政法人化する案が検討されました。しかし、2009年（平成21年）の報道によると、附属病院は施設の老朽化を理由に、研究機能を市立十三市民病院へ移転した上で縮小または廃止する方針とされています。また、第1特別養護老人ホームは指定管理者制度を導入して残し、養護老人ホームは段階的に縮小し、最終的には廃止する方針とのことです。第2特別養護老人ホームについては、現地に残すか十三市民病院に移すか、結論が出ていない状況です。

今後も、大阪市の財政状況や高齢者福祉ニーズの変化に対応しながら、弘済院のあり方が検討されていくことでしょう。

所在地・交通アクセス

所在地：大阪府吹田市古江台6-2-1
交通アクセス：
阪急千里線・大阪モノレール 山田駅下車
阪急バス さゆり幼稚園前または山田弘済院下車

参考文献

川端直正/編集『弘済院60年のあゆみ』大阪市立弘済院、1973年

外部リンク

大阪市立弘済院
大阪市立弘済院附属病院
大阪慈恵病院跡
* 千里山開発物語（六） 弘済院（弘済会）が吹田市山田に移転した経過

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