大阪市立栄小学校

大阪市立栄小学校：歴史と変遷

大阪市立栄小学校は、大阪市浪速区に位置する公立小学校です。1872年（明治5年）7月2日、旧西成郡渡辺村（現在の浪速区）に開校して以来、地域社会に貢献し、数々の歴史を刻んできました。本稿では、その歴史と変遷について詳しく見ていきます。

創立から明治時代

1871年（明治4年）、西成郡渡辺村の住民は小学校設置を熱望し、翌1872年、西大組第二十二区小学校として、徳浄寺境内で開校しました。1875年には、当時日本一と称された校舎が完成しました。その後、学校制度の変遷に伴い、公立栄小学校、栄尋常小学校など名称を変えながら発展を続けました。1890年には栄簡易小学校を併設しましたが、後に廃止されています。1893年には西成郡栄尋常高等小学校となりました。1897年、西浜町の大阪市編入により、大阪市栄尋常高等小学校と改称しました。

1908年には、現在の浪速区浪速西3丁目（浪速西公園付近）に移転し、さらに1928年には浪速区浪速西3丁目（現在の栄町5丁目付近）へと移転を繰り返しました。これらの移転は、児童数の増加や都市開発によるものと考えられます。1934年には、高等科を男子のみとし、女子高等科は恵美第三尋常高等小学校へ統合されました。同年、室戸台風による被害を受け、校舎が倒壊するなど、自然災害にも見舞われました。

栄第二小学校と有隣小学校

児童数の増加に対応するため、1922年には栄小学校から分離する形で、大阪市栄第二尋常小学校（後の東栄国民学校）が現在の浪速区浪速東1丁目に創立されました。この地域は、もともと木津村に属し、大阪市編入後も南区木津北島町と呼ばれていました。栄第二小学校の創立により、従来の栄尋常高等小学校は大阪市栄第一尋常高等小学校に改称されました。

また、労働に従事する児童のために、1911年6月、私立有隣小学校が開校しました。これは、地域の篤志家による寄付によって設立された夜間小学校で、当初は木津北島町の民家を仮校舎として使用していました。1912年には栄町に移転し、1922年に大阪市に移管されました。1927年には有隣勤労学校に改編され、各種学校として運営されました。この有隣小学校は、『論語』の「徳は孤ならず、必ず隣有り」から校名が名付けられた、画期的な社会事業でした。

国民学校時代と戦時下の状況

1941年、国民学校令の施行により、栄第一尋常高等小学校は栄国民学校に、栄第二尋常小学校は東栄国民学校に改称されました。有隣勤労学校も有隣国民学校となり、1944年には南栄国民学校と改称されました。

太平洋戦争の激化に伴い、1944年以降、大阪市内の国民学校児童の学童疎開が実施されました。栄国民学校と東栄国民学校の児童は滋賀県に疎開しましたが、貧困層児童が多かった南栄国民学校は、市内での集団疎開が見送られました。

1945年の大阪大空襲では、東栄国民学校と南栄国民学校の校舎が全焼しました。戦後、東栄国民学校と南栄国民学校は栄国民学校に統合されました。

学制改革以降と近年の移転

1947年の学制改革により、大阪市立栄小学校となりました。1975年には、浪速区木津川町（現在の浪速区木津川2丁目）に移転し、大規模な校舎が完成しました。しかし、児童数の減少により、2014年には現在の浪速区浪速東1丁目（旧浪速青少年会館跡地）に移転しました。旧校舎は、大阪市立難波特別支援学校（現在は大阪府立難波支援学校）の移転用地として活用されました。

まとめ

大阪市立栄小学校は、創立以来、地域社会の変化と共に歩み、その歴史の中で幾度となく移転や改編を繰り返しながら、教育を担ってきました。その歴史は、地域の変遷や社会情勢を反映しており、貴重な地域史料となっています。 現在も、地域社会に貢献する小学校として、その役割を果たし続けています。

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