大阪瓦斯ビルヂング

大阪瓦斯ビルヂングの概要

大阪瓦斯ビルヂング、通称「大阪ガスビル」は、大阪市中央区の御堂筋沿いに存在する登録有形文化財に指定された建築物です。このビルは1933年に安井武雄によって設計され、当時の最新式のモダンな建物として完成を迎えました。大阪ガスの本社としても知られるこのビルは、多様な機能を持つ施設として一般にも開放されていたことが特徴です。

沿革と歴史

このビルの歴史は、竣工当初から多岐にわたります。竣工時には、事務所のほかにガス用品の陳列場や講演場、美容室、理髪場、ガス料理の講習室、食堂などもその中に設けられており、地域の人々にも親しまれていました。特に8階にある食堂では、本格的な欧風料理を楽しむことができ、今もなお、当時の雰囲気を残し営業が続いています。また、建物の地下2階には自動車の駐車場が整備されていたことも注目すべき点です。

1945年の大阪大空襲時には、周囲が焼け野原となる中、このビルは被害を免れ、不思議な運命を辿ります。戦後、占領軍が一時的に接収したこともありましたが、1952年には接収が解除され、元の姿に戻りました。1966年には安井の後継者である佐野正一の設計により北館が増築され、現在も大阪ガスの本社として利用されています。

特に、1階には大阪野村銀行の後身として知られるりそな銀行の御堂筋支店が入っており、このビルの重要性を物語っています。

文化財としての位置付け

2003年には、南館が「大阪ガスビルディング」として国の登録有形文化財に登録されました。また、同年には重要なモダニズム建築物として「DOCOMOMO JAPAN」にも選出され、さらに生きた建築ミュージアムにも選ばれています。2023年11月には北館も登録有形文化財となる予定で、その保存と活用が検討されています。

最近では、2022年より大阪ガス社有地に新たな複合ビルの建設が計画されています。このビルは外部企業への賃貸も視野に入れた商業テナントビルとしての利用が進められています。

建築様式

このビルの外観は一般的にアール・デコ様式とされていますが、実際には安井武雄が近代合理主義様式への接近を試みたものです。彼は「使用目的及ビ構造に基ケル自由様式」と語っており、建物のフォームは立地条件やガス事業の公共性に基づいて決定されました。この思想は、村野藤吾や渡辺節といった他の建築家とも共通点があると指摘されています。

有名な建築評論家、藤森照信によれば、大阪ガスビルはアール・デコ様式が持つ高い純度の鉱物感覚が魅力的に取り入れられた建築になっていると評価されています。

交通アクセス

建物へのアクセスは非常に便利で、Osaka Metroの御堂筋線および京阪電気鉄道本線の淀屋橋駅からの利用が可能です。他に本町駅からも、御堂筋線や四つ橋線、中央線を利用して簡単に到達できます。

こうして大阪瓦斯ビルヂングは、歴史的・文化的な価値を持つ建築物として現在も人々に利用され続けています。その変わらぬ存在感は、周囲の都市景観にも大きく貢献しています。

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