大阪電気軌道デボ61形電車

大阪電気軌道デボ61形電車

大阪電気軌道デボ61形電車は、現在の近畿日本[[鉄道]]（近鉄）の前身である大阪電気軌道（大軌）が1922年から1924年にかけて製造した旅客用電車です。後に近鉄に引き継がれ、モ261形・ク101形となりました。本項では、デボ61形の車体を流用したデボ150形、デボ61形の制御器を交換して誕生したデボ400形についても解説します。

概要

デボ1形・デボ19形に続いて製造された車両で、61 - 102の全42両が製造されました。製造時期によって以下の3つのグループに分けられます。

1922年3月竣工：デボ61 - 72
1923年3月竣工：デボ73 - 87
1924年3月竣工：デボ88 - 102

製造メーカーは、川崎造船所、藤永田造船所、日本車輌製造の3社です。

車体

木造車体ですが、デボ1形・19形の車体長13817mmに対し、14351mmと若干長くなっています。窓配置はD5D5Dで、屋根はダブルルーフ構造を採用。モニター部のベンチレータは、デボ1形・19形のトルペード形に対し、ガーランド形となっているのが特徴です。

主要機器

主[電動機]]は、105[[馬力]の[ゼネラル・エレクトリック]社製GE-240B形を4基搭載。デボ88 - 102は、通風器が側面3個から5個に増え、換気能力の向上が図られました。制御器は、間接非自動式のGE社製MK電磁スイッチ式制御器を搭載。ブレーキは、GE社製非常直通ブレーキを装備しています。

改造と廃車

1929年には、デボ73 - 77がデボ300形デボ303 - 306に電装品を流用するため電装解除され、制御車のクボ30形となりました。

デボ61形デボ73 - 77 → クボ30形クボ31 - 34

1935年には、78・79が鋼体化改造されデボ301形デボ307・308となりました。1937年には80・81・88・89についても同様の改造が行われ、デボ301形309 - 312となっています。

また1935年に63・67が瓢箪山駅での事故に遭遇。このうち63と67は復旧時に鋼体化を行いデボ103形デボ103・104となりました。同年には90・93 - 96が同じく鋼体化改造され、デボ103形デボ105 - 109となっています。一方、30については鋼体化によって余剰となる木造の旧車体で復旧され、このためガーランドベンチレーターは同車のみ5個になりました(他のクボ30形はいずれも3個) 。旧車体の供給元は96だとされています。

製造後わずか十数年程度での鋼体化でしたが、78・79の車体は電動貨車デワボ1800・1801に、80・81・88・89の車体は新形式デボ150形に流用されました。90・93 - 96の車体は博多湾[[鉄道汽船]]（現・西鉄貝塚線）に譲渡され、コハフ1・5 - 8となりました。また67の車体は、高安工場構内の入換用車両に流用され、後にモワ1850形1851、さらにモワ2820形2821と改番されました。

1937年には61・62・64・65が番号はそのままで手荷物合造車（デボニ61形）に改造されています。また91・92は制御器を交換しデボ400形となっています。

デボ61形デボ61・62・64・65 → デボニ61形デボニ61・62・64・65

1942年の称号改正で、番号はそのまま、記号がデボ→モ、デボニ→モニ、クボ→クに変更。1949年、87・97 - 102が鋼体化され、600系となりました。

残った車両は1950年の称号形式整理の時に改番され、モ61形・モニ61形はモ261形・モニ261形に、ク30形はク101形になりました。

モニ61形モニ61・62・64・65 → モニ261形モニ261 - 264
モ61形モ66・68 - 72・82 - 86 → モ261形モニ265 - 275
ク30形ク30 - 34 → ク101形ク101 - 105

そして1955年から1956年にかけてすべて鋼体化改造を施され、モ460形・サ300形となりました。これらの車両も老朽化や機器が昇圧非対応のため、1969年9月21日の昇圧時に全車廃車されました。一方、高安工場入換用として製造されたモワ2820形2821はその後も現存し、1970年にモワ80形85に改番されましたが、1976年3月29日付で廃車されています。

デボ150形

1932年にデボ61形デボ80・81・88・89を鋼体化した際、不要となった旧車体に1927年製の無蓋電動貨車デトボ611 - 614の台車・主要機器を組み合わせてできた車両で、デボ150 - 153の4両が製造されました。車籍はいずれも旧車体のものを引き継いでいます。1949年に全車とも名義上、600系に鋼体化されて形式消滅しました。

デボ400形

1937年4月にデボ301形デボ309・310が試用していた電気制動付きのMK形制御器をデボ61形91・92に搭載したものです。改番は下記の通りです。

* デボ61形91・92 → デボ400形デボ400・401

こちらも1949年に名義上600系に鋼体化されて形式消滅しました。なお、本形式はのちに登場する鋼製車モ400形とは無関係です。

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