大陸行進曲

大陸行進曲

「大陸行進曲」（たいりくこうしんきょく）は、1938年11月にビクターレコードからリリースされた日本の軍歌です。この楽曲は当時の日本軍の動向や愛国心を背景にしており、旧レコード番号はJ-54500-Aです。

制作の背景

この曲の誕生は、東京日日新聞と大阪毎日新聞が「大陸進出の大使命」というテーマで行った作品募集から始まります。1938年の9月10日から30日までの期間に、各地から集まった応募作品は21000通にも及び、その中から鳥越強の歌詞が選ばれました。その後、中支那派遣軍の軍楽隊が作曲を手がけ、10月15日に発表されたのです。これは、日本軍が武漢三鎮を攻略した直後の出来事です。

録音と演奏

「大陸行進曲」は、ビクターレコードの人気歌手が録音に参加しました。しかし、普段の神田今川橋のビクタースタジオではなく、赤坂溜池にある三会堂ビルの最上階講堂で吹き込まれたため、独特の豊かな残響と立体的な音が特徴です。伴奏を担当したのは、日本ビクター吹奏楽団とされているものの、金管楽器の演奏技術や過去の記録と照らし合わせると、実際には海軍軍楽隊の隊員たちが主体となって演奏を行った可能性が高いとされます。

評論家の関与

この楽曲の制作には、評論家の大宅壮一が影響を与えていました。彼は当時、東京日日新聞の社友として南京に駐在しており、目下進行中の中支那派遣軍軍楽隊に作曲を依頼し、完成した楽曲を東京の本社へ送信する役割を担っていました。

宣伝とその後の受容

今日における「大陸行進曲」は、政府によって「愛国行進曲」や「日の丸行進曲」と並び、日本国民全体が歌うべき3大愛国歌の一つとして積極的に宣伝されました。このような強力なプロモーションにより、楽曲は広く知られるようになりました。

文化的影響

「大陸行進曲」は、その後の文化にも影響を与えています。たとえば、2007年に放送された短編テレビアニメ「アームズラリー」では、この曲が主題歌として使用されており、最終話のサブタイトルにも「大陸行進曲」という名前が引用されています。

このように、「大陸行進曲」はただの軍歌にとどまらず、その歴史的背景や文化的意義を通じて、今なお多くの人々に親しまれる存在であり続けています。

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