大隅和雄

大隅和雄について

大隅和雄（おおすみ かずお）は、1932年10月10日生まれの日本の歴史学者、思想史家です。専門は中世思想史、特に仏教思想に精通しており、東京女子大学の名誉教授を務めています。彼の研究は、日本の歴史と文化、そして思想の深い理解に貢献しています。

生い立ちと教育

1932年、福岡県福岡市で生まれた大隅和雄の父は、鉱山学者として九州帝国大学に勤務していました。大隅は、戦時中の1945年4月に広島高等師範学校附属中学校特別科学教育学級に進学しましたが、戦局の悪化により疎開。その後、広島への原爆投下で学校が壊滅し、福岡県立修猷館高等学校に転校しました。1951年に同高校を卒業後、東京大学に進学し、1955年に文学部国史科を卒業しました。さらに研究を深めるため、1964年に東京大学大学院人文科学研究科博士課程を単位取得満期退学しました。

研究者としてのキャリア

大学院修了後、1964年に北海道大学文学部助教授に就任。その後、1977年に東京女子大学教授となり、長年にわたり教育と研究に尽力しました。2001年に同大学を定年退職し、名誉教授となりました。

受賞と栄誉

大隅和雄は、1992年に『大系日本歴史と芸能 全14巻』の編集委員として、第46回毎日出版文化賞特別賞を共同受賞しました。この賞は、日本の歴史と芸能に関する学術的な貢献を評価したものです。

家族について

大隅家は学術一家であり、父の大隅芳雄は鉱山学者で九州大学名誉教授、母方の祖父である長沼賢海は日本史学者で九州大学名誉教授です。また、弟の大隅良典は生物学者でノーベル生理学・医学賞を受賞しています。さらに、長男の大隅清陽は日本古代史を専門とする歴史学者で山梨大学教授、次男の大隅直人は出版編集者でさいはて社代表です。写真家の吉村朗は、大隅和雄の妻の甥にあたります。

主要な著作

大隅和雄は、多数の著書を執筆しており、その研究成果は多岐にわたります。主な著作には以下のようなものがあります。

『聖宝理源大師 醍醐山開創一千百年記念』(1976年)
『中世思想史への構想 歴史・文学・宗教』(1984年)
『愚管抄を読む 中世日本の歴史観』(1986年)
『日本史のエクリチュール』(1987年)
『事典の語る日本の歴史』(1988年)
『中世 歴史と文学のあいだ』(1993年)
『日本の文化をよみなおす 仏教・年中行事・文学の中世』(1998年)
『日本の中世2　信心の世界、遁世者の心』(2002年)
『方丈記に人と栖の無常を読む』(2004年)
『中世仏教の思想と社会』(2005年)
『西行・慈円と日本の仏教　遁世思想と中世文化』(2016年)
『中世の声と文字　親鸞の手紙と『平家物語』』(2017年)
* 『日本文化史講義』(2017年)


これらの著作を通じて、大隅和雄は中世日本の歴史、文化、思想について深く掘り下げ、読者に新たな視点を提供しています。また、古典の現代語訳や校注、共同研究や編著も多数手がけており、その活動は学術界に多大な影響を与えています。

大隅和雄の研究は、中世日本に対する理解を深める上で欠かせないものであり、その学術的な貢献は高く評価されています。

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