大雪りばぁねっと。

大雪りばぁねっと。とは

大雪りばぁねっと。（だいせつりばぁねっと）は、2005年に北海道旭川市で設立された特定非営利活動法人です。設立当初は、石狩川上流域での環境保全活動や、自治体レスキュー隊への救助訓練指導などを行っていました。

しかし、2011年に東日本大震災が発生すると、被災地の雇用創出事業に乗り出します。岩手県山田町から事業を委託され、被災者の雇用を創出する事業を始めましたが、その運営は杜撰なものでした。不明朗な会計処理が次々と明らかになり、最終的には破産に至ります。

不明朗会計問題

大雪りばぁねっと。が請け負った山田町の雇用創出事業において、不明朗な会計処理が発覚しました。この問題は、旭川市、岩手県、山田町を巻き込む大問題へと発展しました。

報道では、「旭川NPO不明朗会計問題」や「大雪りばぁねっと。問題」などと呼ばれ、社会的な関心を集めました。

問題の経緯

2011年
3月11日：東日本大震災が発生。多くの被災者が北海道へ避難し、大雪りばぁねっと。は山田町で支援活動を開始。
5月：山田町が大雪りばぁねっと。と2011年度雇用事業の委託契約を締結。
7月：アイシン精機から給湯施設の提供を打診され、山田町が受け入れを決定。
8月：リース会社「オール・ブリッジ」設立。
12月：山田町に無料公衆浴場「御蔵の湯」（おぐらのゆ）を開設し、約1年間運営。
2012年
4月：山田町が大雪りばぁねっと。と2012年度雇用事業の委託契約を締結。事業費は7億9000万円。
4月13日：オール・ブリッジの所在地を石川県に移転。
12月：大雪りばぁねっと。の残高が75万円しかないことが発覚。山田町は事業打ち切りを決定し、大雪りばぁねっと。は従業員137人全員を解雇。
2013年
1月：山田町が第三者調査委員会を設置。
2月：宮古労働基準監督署が大雪りばぁねっと。を事実上の倒産状態と認定。
3月：大雪りばぁねっと。が解散か破産を検討。岩手県は、事業費7億9000万円のうち5億200万円を不適切支出と判断し、補助対象外とした。山田町は、不適切支出分を一般財源で穴埋め。解雇された元従業員が労働組合を結成。
4月：町民団体が町費での穴埋めは不当だとし、町議会の解散請求書を町に提出。町の第三者委員会が報告書を公表。
5月：東京地方裁判所より破産手続開始決定。負債総額は約5億6000万円。
2014年
2月3日：山田町が岩手県警察に告訴状を提出。県警は即日受理。
2月4日：代表の岡田栄悟、妻（経理担当）、母親（給与を受け取っていた）、リース会社オール・ブリッジの代表（災害復興支援副隊長）、岡田の義弟の5名が、業務上横領容疑で逮捕。
4月30日：大雪りばぁねっと。元代表理事、その妻、オール社代表の初公判。全員が容疑を否認。
11月4日：盛岡地裁は、オール社代表に懲役2年4か月の実刑判決。
12月18日：盛岡地方検察庁は、業務上横領や破産法違反の容疑で送検後、処分保留になっていた男女6人を不起訴処分。
2015年
4月：オール社代表の懲役2年4か月の実刑が確定。
12月18日：仙台高裁は、大雪りばぁねっと。元代表理事の母の控訴を棄却。
2016年
1月19日：盛岡地裁は、岡田に対し懲役6年、妻に対し懲役2年6か月の実刑判決。
2019年
2月22日：山田町が岡田栄悟元代表理事に約6億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が出る。盛岡地裁は、岡田受刑者に約5680万円の支払いを命じた。
3月：岡田受刑者側は控訴を発表。

問題点

ずさんな運営

雇用事業の委託契約では、人件費以外の財産形成に事業費が使われないように、50万円を超える売買はできませんでした。しかし、山田町の調査によると、ボート購入に600万円、車両10台購入に2900万円、その他潜水機材、1着10万円のイタリア製高級ブランドの制服、数十万円するライト購入など、計2億8000万円がリース費名目で直接業者に支払われていました。

また、大雪りばぁねっと。には税理士などの専門家がおらず、高額な売買でも領収書を保管していませんでした。

オール・ブリッジの設立

岡田代表は、大雪りばぁねっと。では建設・土木事業や複数年度に跨る支出ができないため、ナンバー2の男を代表とするリース会社「オール・ブリッジ」を設立しました。そして、オール・ブリッジに無料公衆浴場「御蔵の湯」を建設させ、大雪りばぁねっと。に貸し出し、リース料を毎年オール・ブリッジに支払っていました。

岩手県は当初、建設・土木事業は補助対象外との見解でしたが、後にオール・ブリッジを介したリース事業として補助対象と認めました。これに対し、県の雇用対策労働室の特命参事は事業内容を確認していなかったことを認めています。

山田町のずさんな事業委託

山田町は事業委託の際、大雪りばぁねっと。の過去の実績や収支報告を一切確認せずに委託し、事業費全額を前払いしていました。また、大雪りばぁねっと。の岡田代表を町の主幹に任命したときも履歴書の提出を受けていませんでした。

事業半ばでの従業員全員解雇

2012年12月、事業費を使い切ったことを理由に、従業員137人を全員解雇しました。その後、元従業員約30人が労働組合を設立し、大雪りばぁねっと。に対し、解雇予告手当の支給と解雇に至った経緯の説明と謝罪、山田町には雇用確保を求めていく方針を示しました。

関連項目

公金チューチュー

外部リンク

大雪りばぁねっと。 | NPO法人ポータルサイト - 内閣府
山田町緊急雇用創出事業委託に関する第三者調査委員会
山田町復興記録誌 - ［別冊］『「NPO法人大雪りばぁねっと事件」その背景と教訓』

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