大韓放送

大韓放送株式会社の歴史

大韓放送株式会社（略称：DBC）は、大韓民国において初めてテレビ放送を開始した放送局であり、KBS第1テレビジョンの前身にあたります。1956年5月12日、アメリカのRCAと韓国の地元資本との合弁により設立され、「KORCAD-TV」という名称でも知られていました。この放送局は、韓国で初めて民間によるテレビ放送を実現し、現在においても大韓民国最古の民間放送局としてその名を残しています。

当時、韓国の国営放送はラジオの普及に全力を注いでおり、民間放送の市場開拓が急務でしたが、経営難に苦しんでいました。設立からわずか1年後、大韓日報が新たに受け皿会社を設立し、「KORCAD-TV」の運営を引き継ぎました。この新たに設立された会社が大韓放送株式会社なのです。

しかし、1959年2月2日未明に発生した原因不明の火災により、大韓放送は全ての放送機器を失い、放送を中断せざるを得ない状況となりました。この火災の原因は、電気系統の過熱によるものと推測されていますが、公式な特定には至りませんでした。失った機器を再度用意することができず、自社での放送再開が難しかった大韓放送は、翌月にはアメリカ軍や米国広報文化局（USIS）からの支援を受ける形で、米軍が運営するAFKN-TVの夜間放送枠を購入し、放送を再開しました。

放送再開の後、困難を乗り越えて再び自営放送を目指しましたが、1961年は大きな変化の年となります。この年の5月16日、朴正煕によるクーデターが発生し、韓国は軍事独裁体制に突入します。この政権により、テレビ放送の規制と普及の統制が強化され、大韓放送は事実上の解体に追い込まれました。1961年10月15日、大韓放送は放送を終了し、その資産や社屋を国に明け渡しました。代わりに、同年大晦日に「国営ソウルテレビジョン放送局」（現在のKBS第1テレビジョン）が新たに放送を開始しました。

大韓放送は、韓国国内において火災による機器損失、当時の低いテレビ受信機普及率、テレビ広告市場の限界など、複数の要因によって成功しなかったとの評価を受けています。しかし、彼らの存在は韓国の放送史において重要な位置を占めており、今でも「韓国初のテレビ局」としての名誉を保っています。

技術データ

• - コールサイン: HLKZ-TV
• - チャンネル: KO-9ch
• - 空中線電力: 100W（映像）

歴史のタイムライン

• - 1956年5月12日: 開局式を実施し試験放送を開始。
• - 1957年5月12日: 韓国日報設立の受け皿会社が全事業を引き継ぐ。
• - 1959年2月2日: 社内の放送機器全てが火災で喪失。
• - 1959年3月1日: AFKN-TVの枠を利用して放送再開。
• - 1961年10月15日: 放送終了、国に全てを明け渡し解散。

大韓放送は、先駆者としての役割を果たしましたが、その栄光の裏にある厳しい現実を知ることができます。

もう一度検索