天使のくちびる

天使のくちびる

桜田淳子がアイドルとしてのキャリアを歩む中で放った12枚目のシングルとして、1975年8月に世に送り出された楽曲が「天使のくちびる」です。この楽曲は、当時の彼女の人気を確固たるものとする一助となった一曲であり、作詞に阿久悠、作曲に森田公一、そして編曲に竜崎孝路という、日本の歌謡界の黄金期を支えた名だたるクリエイター陣が集結して生み出されました。楽曲の演奏時間は3分9秒に設定されています。

「スター誕生！」の舞台で

本楽曲は、歌手を志す若者たちの登竜門として絶大な人気を博した日本テレビ系のオーディション番組『スター誕生!』の舞台で歌唱されたことでも、その名を記憶されています。具体的には、後に多方面で活躍する神保美喜氏が、同番組のテレビ予選、そして歌手デビューの可能性をかけた決戦大会という重要な局面で、この「天使のくちびる」を披露しました。『スター誕生!』という番組は、何を隠そう桜田淳子自身が芸能界へ飛び込むきっかけとなった場所であり、番組が生んだスターが同じ番組の出場曲として彼女の楽曲を歌うという、興味深い巡り合わせがここにありました。

音源に残る細やかな違い

シングル盤「天使のくちびる」の音源には、音楽ファンやコレクターの間でしばしば話題となる差異が存在します。それは、レコードが製造されたプレス時期によって、収録曲のサウンド、特にイントロ部分のアレンジに微妙な違いが見られる点です。リリース当初に製造された初回プレス盤では、楽曲の始まりにオカリナや縦笛を思わせる、素朴でありながらも心に響くような独特の音色がフィーチャーされています。これに対し、その後に追加で製造されたセカンドプレス以降の盤では、クリアで豊かな響きを持つ12弦ギターの音がイントロを飾るアレンジに変更されています。この音源の差異は、意図的なものか、あるいは制作上の都合によるものかは定かではありませんが、同じ楽曲でありながら異なる表情を見せる貴重な記録として、音源マニアの間で聴き比べの対象となっています。

異なるバージョンの楽しみ方

幸いなことに、これらの異なるバージョンの「天使のくちびる」は、現在でも入手可能な音源として残されています。具体的には、桜田淳子のアナログ盤リリース当時の仕様を再現した紙ジャケット復刻盤CDシリーズの一枚である『わたしの素顔』の中に、初回プレスバージョンとセカンドプレス以降のバージョンの両方が収録されています。これにより、当時の音源のニュアンスの違いを手軽に楽しむことができ、楽曲の新たな魅力を発見する機会となっています。

カップリング曲「叱られてから」

本シングルのB面には、カップリング曲として「叱られてから」が収録されています。こちらもA面と同じく、作詞を阿久悠、作曲を森田公一、編曲を竜崎孝路が担当しており、作詞・作曲・編曲全てを同じクリエイターチームが手掛けた楽曲となっています。演奏時間は2分47秒と、A面よりも若干短く、異なる雰囲気を持つ楽曲が収録されることで、シングル全体としてリスナーに多様な音楽性を提供しています。

まとめ

「天使のくちびる」は、単なるヒットシングルとしてだけでなく、オーディション番組との興味深いつながりや、プレス時期による音源の差異といった、音楽史やレコード文化の側面からも注目すべき要素を持った楽曲と言えるでしょう。桜田淳子の活動を振り返る上で、欠かせない一曲です。

関連項目

GOLDEN☆BEST 桜田淳子
1975年の音楽

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