天冥の標

天冥の標（天冥のしるべ）

『天冥の標』は、小川一水による壮大なSF小説シリーズで、全10巻（計17冊）が早川書房から刊行されています。各巻は異なる時代や場所を舞台にしながらも、作品全体を通じて繋がりを持つ一連の物語として展開します。このシリーズは、2018年12月の時点で累計発行部数が約40万部に達し、広く支持を受けていることが報告されています。さらに、2020年には第40回日本SF大賞と第51回星雲賞の日本長編部門を受賞し、その評価が確固たるものとなりました。

各巻の概要

I メニー・メニー・シープ

西暦2803年、植民星「メニー・メニー・シープ」を舞台にした革命運動の物語です。本作は2009年に上下2冊が刊行され、緊張感あるストーリーが展開されます。

II 救世群

2015年の地球、感染症「冥王斑」のパンデミックを描いた作品で、社会がどう変わっていくのかを探求しています。この巻は2010年3月に発表され、リアリティのある描写が話題となりました。

III アウレーリア一統

西暦2310年、宇宙海賊や救世群が関与する戦争を通じて、ドロテア・ワットを巡る争いを描いています。2010年7月に刊行され、異なる勢力の戦略と葛藤が焦点となっています。

IV 機械じかけの子息たち

2313年の娼界「ハニカム」を舞台に、冥王斑患者の少年と不老不死のアンドロイドとの交流を描き、2011年5月に発表されました。

V 羊と猿と百掬の銀河

2349年、小惑星パラスの農夫の生活と、6000万年前の出来事にまつわるエピソードが描かれています。2011年11月の刊行。

VI 宿怨

2500年頃、非分極保険社団を中心とした闘争が展開される全3冊からなるシリーズで、2012年5月から2013年にかけて出版されました。

VII 新世界ハーブC

太陽系全体に広がる冥王斑パンデミックの影響を受けた若者たちの生活を描く作品で、2013年12月に刊行されました。

VIII ジャイアント・アーク

I巻の出来事を別の視点から描いており、2014年に2部作として発表されました。

IX ヒトであるヒトとないヒトと

ビッグ・クロージング以降の各勢力の情勢を描いており、2015年12月から2016年にかけて発表されました。

X 青葉よ、豊かなれ

シリーズの完結編で、2018年12月から2019年にかけて3部作として刊行されました。

主な勢力とキャラクター

この作品には多様な勢力やキャラクターが登場します。例えば、《酸素いらず》は、電気代謝能力を持つ人々で、宇宙での活動に長けています。一方で、オムニフロラという存在は周囲の生命体に脅威をもたらす植物です。また、カンミア族は青白い昆虫に似た異星人であり、文明の高度さが特徴です。

記事情報

書誌情報も充実しており、各巻がいつ、どのように出たのかが細かく記載されています。シリーズの第1巻である『天冥の標I メニー・メニー・シープ』は2009年9月に出版されてから始まり、最後の第10巻も2019年に完結を迎えました。

このように、『天冥の標』は多角的な視点から構築されたストーリーであり、科学的要素と人間ドラマが絶妙に絡み合っています。読者にとって、まさにSF文学の魅力を詰め込んだ一作となっています。

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