天山文庫

天山文庫について

福島県双葉郡川内村に存在する文化施設、天山文庫（てんざんぶんこ）は、詩人・草野心平による蔵書の寄贈をきっかけに開設されました。心平は約3,000冊の作品を村に寄贈し、その蔵書は現在も天山文庫で大切に管理されています。文庫では、彼の作品だけでなく、設立に協力した文学者たちの貴重な資料も展示されており、訪れる人々に地域文化を伝える重要な役割を果たしています。

草野心平の足跡

詩人の草野心平は、福島県生まれで、特に蛙をテーマにした詩を数多く執筆しています。1953年、彼はモリアオガエルの生息地として名高い川内村の平伏沼を訪れ、村とのつながりが深まりました。その後、心平は何度も同村を訪問し、村人たちとの交流を重ねていきました。その結果、1960年に草野は名誉村民の称号を与えられ、同年に彼の蔵書3,000冊が村に寄贈される運びとなります。この寄贈がなければ、天山文庫の設立は実現していなかったかもしれません。

天山文庫の設立

文庫の建設に際して、草野の友人である建築家・山本勝巳が設計を担当し、地元の村人たちがその建設に尽力しました。1966年7月16日、ついに天山文庫は無事に落成し、その後は地域の文化的な拠点として機能しています。設立にあたっては、井上靖を始めとして、金子光晴、唐木順三、川端康成など、日本を代表する文学者たちが協力をしました。こうした名だたる作家たちの支援により、文庫は一層の信頼を得ることになりました。

建物とイベント

天山文庫は、日本の伝統的な木造・真壁造りで、茅葺きの屋根が特徴的です。この独特な建築様式は、訪れる人々に温かみと懐かしさを与えます。また、毎年7月には草野心平を偲ぶ「天山祭り」が開催され、多くの人々が訪れます。この祭りでは、心平の詩を詠むイベントや関連する活動が行われ、地域文化の継承と草野への敬意が表されています。

アクセス情報

天山文庫へのアクセスは便利で、いわき市中心部から車を利用すると約90分、磐越自動車道の小野ICや船引三春ICからもそれぞれ40分ほどの距離です。常磐自動車道の常磐富岡ICからは、約20分から30分のアクセスとなっており、多くの訪問者が足を運びやすい立地にあります。

天山文庫は地域の文学文化を支えるだけでなく、草野心平の足跡を振り返る貴重な施設です。訪れる際には、彼の作品に触れ、ほかの文学者たちの資料にも目を通し、深い学びを得ることができるでしょう。

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