天河宏文

天河 宏文

天河 宏文（あまかわ ひろふみ）氏は、1966年（昭和41年）6月14日に愛知県で生まれた、日本の建設・国土交通官僚です。長年にわたり国土交通行政の中枢で活躍し、特に都市開発、住宅政策、人事組織など、幅広い分野で重要な役割を果たしてきました。

若き日とキャリアの始まり

愛知県にルーツを持つ天河氏は、勉学に励み、国内最高学府の一つである東京大学の法学部を卒業しました。大学での学びを終えた1990年（平成2年）、当時の建設省の門を叩き、官僚としてのキャリアをスタートさせます。建設省は、日本の国土づくりや社会基盤整備を担う重要な官庁であり、ここで天河氏は行政のプロフェッショナルとしての基礎を築き上げました。

国土交通行政の中枢を担う

建設省に入省後、そしてその後の省庁再編を経て誕生した国土交通省において、天河氏は多様な部署で経験を積みました。住宅行政に関わる住宅局総務課では、民間事業の支援・調整を担う室長を務め、官民連携による住まいづくりや不動産市場の活性化に向けた施策に関与しました。また、都市政策を主管する都市局においては、まちづくり推進課長として、魅力ある都市空間の創造や地域活性化に資する政策の立案・推進に深く関与しました。これらの経験は、後に都市局長として日本の都市政策全体を統括する上での貴重な礎となりました。

キャリアの中盤には、独立行政法人である都市再生機構の理事を務め、実際の都市開発プロジェクトの現場に近い立場で、事業の推進や組織運営に携わりました。さらに、国土交通省の大臣官房では、参事官として政策の企画立案や総合調整に携わったほか、組織の根幹を支える人事課長として、人材育成や適材適所の人員配置といった、霞が関のキャリア官僚にとって特に重要なポストを担いました。

人事課長を務めた後には、審議官（不動産・建設経済局担当）として、不動産市場の動向分析や建設産業の育成・振興といった経済政策的な側面からも国土交通行政に関わりました。この間、具体的な業務としては、都市における緑地の保全や有効活用を促進するための生産緑地法の改正作業に携わったほか、建築物や建材等の安全性・性能を評価し認定を行う、国土交通大臣認定業務の円滑な運用にも貢献しました。これらの業務は、国民の生活基盤や安全・安心に関わる重要なものであり、天河氏が行政官として果たしてきた役割の幅広さを示しています。

主要ポストを歴任

キャリアを重ねるにつれて、天河氏はさらに重要なポストを任されるようになります。2021年（令和3年）7月1日には、国土交通省大臣官房の総括審議官に就任しました。このポストは、省全体の政策課題を横断的に調整し、大臣を補佐する重要な役割を担います。そして、2022年（令和4年）6月28日には、都市政策のトップである都市局長に就任しました。都市局長として、都市再生、まちづくり、公園緑地、下水道など、多岐にわたる都市に関する政策を統括し、日本の都市が抱える様々な課題（高齢化、防災、環境問題など）への対応を指揮しました。

2024年（令和6年）7月1日には、さらに格上のポストである国土交通審議官に就任しました。国土交通審議官は、事務次官に次ぐナンバー２グループの一員として、特定の政策分野（この場合はインフラ政策や国際畑を担うことが多い）を深く担当しつつ、省全体の重要政策に関与する要職です。

建設省入省以来、長きにわたり日本の国土交通行政に貢献してきた天河氏は、その豊富な経験と知識を活かし、都市開発、住宅政策、インフラ整備など、国民生活に直結する多岐にわたる分野で手腕を発揮しています。国土交通審議官として、今後も日本の社会基盤の整備や持続可能な国土づくりにおいて、そのリーダーシップが期待されています。

（参考文献：『政官要覧 令和5年春号』政官要覧社、2023年）

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