天照大神高座神社・岩戸神社

天照大神高座神社と岩戸神社

大阪府八尾市大字教興寺には、隣接して立つ二つの神社、天照大神高座神社と岩戸神社があります。これらの神社は境内が一体化しており、訪れる人々がその存在に気付くことが困難なほどです。密接な由来を持つため、ここでは二つの神社を併せて紹介します。

天照大神高座神社

天照大神高座神社は、八尾市の南東部、高安山の中腹に位置しています。この神社はかつて「村社」として知られ、神名帳には「河内国高安郡天照大神高座神社」との記録があります。以前の名称は『式内大社高座神社』で、祭神として天照大神と高皇産霊大神を祀っています。この他に、伊勢津彦命と伊勢津姫命も祭神として迎えられています。

創立年代は明確にはわかっていませんが、雄略天皇23年（479年）に伊勢国宇治山田から現在地へ遷座されたとの伝承があります。神社の本殿は岩盤の上に構えており、古い原始信仰に起因するものとも考えられています。

また、境内には「白飯之滝」と呼ばれる滝があり、干ばつの際でも水が絶えないとされています。これは、長きにわたってこの地の人々にとって重要な水の源としての役割を果たしてきたことを示しています。

岩戸神社

一方、岩戸神社は天照大神高座神社のすぐ西側に位置しています。この神社の本殿もまた岩盤上に建てられています。祭神は市杵島姫命で、一般には「岩屋弁財天」や「岩谷弁財天」とも呼ばれています。過去には木彫の弁財天像が主な御神体とされていましたが、現在は一帯の岩山そのものが御神体として崇められています。

伝説によると、弘法大師空海が高座神社を参詣している際に、大神の御託宣により成立したと言われています。元々弁財天はインドの河の神であり、初期には強い仏教色がありました。しかし、中世以降に市杵島姫命の信仰と高座神社の信仰が融合し、現在の祭神として祀られるようになりました。江戸時代になると、商売繁盛の神として大阪の人々に広く信仰されました。

明治時代には神仏分離が行われ、弁財天像は近隣の教興寺に移されました。それ以降、天照大神高座神社と岩戸神社は明確に分かれましたが、系譜の深さが両者の結びつきを今なお実感させます。大正時代に入ると市杵島姫命を祀るために、岩戸神社は独立した神社として運営されるようになり、大正9年には天照大神高座神社の境内に末社として位置付けられました。

アクセス情報

この土地には、近鉄信貴線の信貴山口駅から南へ徒歩約20分でアクセスできます。どちらの神社も自然に囲まれた穏やかな場所にあり、訪れる際にはぜひ周囲の風景も楽しむことをおすすめします。これら二つの神社は、長い歴史の中で信仰され続けている場所です。

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