天真正伝香取神道流

天真正伝香取神道流について

天真正伝香取神道流は、室町時代中期に飯篠家直によって創始された武道流派であり、兵法の三大源流の一つとされています。流派の名称は、江戸時代初期に新當流や香取神道流などと呼ばれ、古い文献では香取新當流と記されることもあります。また、表記には旧字の「天眞正傳香取神道流」も見られます。この流派は、神道夢想流杖術とともに伝承されている剣術の一系統とされます。

流派の特徴

天真正伝香取神道流の内容は多岐にわたり、剣術、居合、柔術、棒術、槍術、薙刀術、手裏剣術などが含まれています。この流派では、甲冑を着用した戦に合わせた技が多く見られ、剣の打ち方には「巻打ち」と呼ばれる戦国時代の刀法が用いられます。また、斬撃や突きでは、鎧の隙間を狙った攻撃が重視されます。特に、打太刀と仕太刀が交互に技を出し合う独特の形が特徴的です。

明治時代の資料『昨夢瑣事』には、この流派が「ヤー、トー」といった掛け声を用いることから、俗に「ヤー、トー、流」とも呼ばれていると記されています。これは流派の伝統的な特徴の一つと考えられています。

多様な技法

剣術

流派の剣術には、数多くの型が存在しています。主な技目は以下の通りです。

• - 表之太刀：四ヶ条
• - 五津之太刀
• - 七津之太刀
• - 神集之太刀
• - 陰之太刀
• - 捨之太刀
• - 薙刀や棒術など、他にも多種多様な型がある。

居合術

居合の技法も豊富で、表居合術と呼ばれる技には、草薙之剣や八方剣などが含まれています。正しい姿勢や身のこなしが求められるこの技術は、習得には時間を要します。

棒術

棒術においては、迫合之棒や臑挫之棒などの技があり、その動きは洗練されています。５つの形を持つ五行之棒も、流派の基本技として学ばれます。

薙刀術と槍術

薙刀術には、五津之長刀や霞之長刀といった技があり、槍術にも様々な型が存在します。

柔術と手裏剣術

柔術には、三十六の技が地道に伝承されており、技の完成には多くの練習が必要とされます。また、手裏剣術も流派における重要な要素であり、極意を持った技があります。

歴史と系譜

この流派は室町時代中期に創始された後、神慮神道流や天真正伝神刀流などの名称を経て、現在の名称に至りました。1941年には書籍が出版され、1960年には千葉県の無形文化財に指定されました。1977年には『無形文化財香取神道流』が出版され、現在までの伝承が続いています。また、18代以降の系譜には、多くの門弟が名を刻んでいます。

文化的影響

香取神道流は、20世紀に映画やドラマの剣術指導としても関与しており、影響力を持っています。この流派の技術や精神は、多くの武道家に受け継がれ、現代においてもなお重要な位置を占めています。

まとめ

天真正伝香取神道流は、その豊富な技法と歴史的背景を持つ貴重な武道流派です。流派に属する技術は多様で、武士の精神を現代に伝え続けています。

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