天野寛子

天野寛子について

天野寛子（あまの ひろこ、生年1940年）は、日本の家政学者及び刺繡作家であり、昭和女子大学の名誉教授として知られています。彼女は、家族福祉や生活文化に関する研究を深め、その成果を多くの著書として発表してきました。今回は、彼女の経歴や主な業績に焦点を当ててご紹介します。

来歴

三重県で生まれ育った天野は、1963年に昭和女子大学の生活科学科を卒業しました。その後、大学に助手として勤務し、講師、助教授、教授を経て、2009年に退職。その後名誉教授としての称号を受けました。彼女のキャリアの中で特筆すべきは、2001年に発表した著書『戦後日本の女性農業者の地位　男女平等の生活文化の創造へ』が、日本生活学会から今和次郎賞と山川菊栄賞を受賞したことです。この業績は、彼女の研究が社会的に高く評価された証でもあります。

主な著書

天野は数多くの著書を発表しており、特に家族の育成や子育てに関する書籍が目を引きます。1984年に出版された『親子で家庭をどう育てるか』や、1988年の『お母さん、これ買って! あふれるモノのなかでの子育て』は、多くの読者に支持されてきました。1993年には、息子に送る22通の手紙をまとめた『自立していく息子へ 母からの22通の手紙』を出版しました。

彼女の作品は、単なる家庭教育の指南にとどまらず、時代の変化を反映した家族福祉や生活文化の考察にも及んでいます。1997年の著書『モデルなき家庭の時代 生きる力を育む生活文化へ』は、 現代の家庭が直面する課題について洞察を提供しています。

さらに、彼女は刺繡作品の制作にも力を注いでおり、2010年には『繋ぐ 天野寛子フリー刺繡画集』を発表しました。この作品集は、彼女の独自の視点や感性を表現したものとして、多くの支持を集めています。2013年には、東日本大震災をテーマにした『繋ぐ 天野寛子フリー刺繡画集 2』も出版されました。

共編著

著書だけでなく、天野は共編著にも積極的に参加しています。1989年の『生活時間と生活様式』や、その後の関連テーマに関する書籍を通じて、家政学の分野に貢献しました。特に、伊藤セツとの共同作業は、彼女のキャリアの重要な部分を占めており、『生活時間と生活意識 東京・ソウルのサラリーマン夫妻の調査から』や『男女共同参画時代の女性農業者と家族』など、多岐にわたるテーマを扱っています。

おわりに

天野寛子はその研究を通じて、家政学の分野における新しい視点や価値観を提示してきました。彼女の業績は、単に学問の域にとどまらず、家族や社会における実践的な知識を提供するものであり、今後もその影響力は続くでしょう。また、彼女の活動は後進への大きな影響を与えており、彼女の弟子である今井美樹（食生活学者）をはじめ、多くの研究者が彼女の理念を受け継いでいます。

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