天頂出現数

天頂出現数（ZHR）とは？

天頂出現数（Zenith Hourly Rate、ZHR）とは、流星群の活発さを示す指標です。簡単に言うと、観測条件が完璧な状況下で、1時間あたりに観測できる流星の数の予測値です。この数値が高いほど、その流星群は活発で多くの流星が見られることを示しています。

具体的には、放射点（流星が放射状に飛び出して見える点）が天頂に位置し、空が非常に暗く光害がない、そして観測者の視力も完璧という理想的な条件下で、1時間あたりに観測できる流星の数を表します。現実にはこのような完璧な条件は存在しないため、ZHRは計算によって求められます。

ZHRの変動

多くの流星群では、毎年ほぼ同じZHRを示します。しかし、一部の流星群ではZHRが大きく変動することがあります。これは、地球の公転軌道と、流星群の母天体である彗星が過去に放出した塵の軌道が交差する度合いによって影響されます。

例えば、しし座流星群は、その母天体であるテンペル・タットル彗星が地球に接近する33年周期で、ZHRが劇的に増加することが知られています。1966年には、20分間に15万個もの流星が観測されたという記録が残っています。これは、まさに流星嵐と言えるほどの規模です。1999年や2001年も、通常の数千倍もの流星が観測されました。

このような変動は、彗星が放出した塵の密度や分布が均一ではないため起こります。地球が塵の密集した部分を通過するとき、多くの流星が出現し、ZHRは増加します。逆に、塵の少ない部分を通過するときは、ZHRは減少します。

ZHRの計算式

ZHRは、観測されたデータに基づいて計算されます。計算式はいくつかありますが、一般的な式は以下のようになります。


ZHR ≈ (N r^(6.5 - mgr)) / (t sin(h))


ここで、

N: 雲量などを考慮して補正された1時間あたりの観測流星数
r: 流星の明るさを表す光度比（明るい流星ほど値が大きい）
mgr: 観測者の限界等級（観測できる最も暗い星の等級）
t: 観測時間（時間）
* h: 放射点の高度角（度）

この式は、観測条件の補正を行い、理想的な条件下でのZHRを推定するために使用されます。ZHRの計算には、専門的な知識と計算スキルが必要となります。

さまざまな流星群のZHR

三大流星群と呼ばれるペルセウス座流星群、しぶんぎ座流星群、ふたご座流星群は、ZHRが100を超える活発な流星群です。一方、小規模な流星群ではZHRが1～2程度と、出現数は少ないです。

ZHRは、流星群の規模や活動の活発さを示す重要な指標であり、流星観測を楽しむ上で役立つ情報です。しかし、ZHRはあくまで予測値であり、実際の出現数は、様々な要因によって変動する可能性があることを理解しておく必要があります。

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