太和 (東晋)

太和（たいわ）は、東晋の廃帝、司馬奕（しば い）の治世において用いられた元号であり、366年から371年までの期間を指します。この短い期間に、東晋国内では政治的な変動や軍事的な衝突が相次ぎました。

太和年間の主な出来事

太和元年（366年）: 司馬奕の治世が始まり、即日改元が行われました。5月には、蜀の司馬勲が討伐されるという事件が発生。10月には、会稽王司馬昱（しばいく）が丞相に任じられ、政治の中枢を担うようになります。また、同年10月7日には、前秦の王猛（おうもう）と楊安（ようあん）が南郷に侵攻し、北方からの脅威も表面化しました。

太和2年（367年）: 4月には、前燕の慕容塵（ぼようじん）が竟陵（きょうりょう）に侵入し、東晋の領土を脅かしました。

太和4年（369年）: 3月には、桓温（かんおん）が平北将軍（へいほくしょうぐん）・徐兗二州刺史（じょえんにしゅうしし）を兼任することとなり、東晋の主要な軍団が桓温の支配下に置かれることになりました。4月1日には、桓温による第三次北伐が開始されますが、9月19日、枋頭（ぼうとう）の戦いにおいて、北伐軍は前燕の慕容垂（ぼようすい）に敗北を喫しました。さらに10月には、豫州刺史（よしゅうしし）の袁真（えんしん）が寿陽（じゅよう）で反乱を起こし、国内情勢はさらに不安定化しました。

太和5年（370年）: 9月には、益州（えきしゅう）で発生した妖賊が討伐されました。

太和6年（371年）: 正月17日、桓温が寿陽を平定し、袁真の反乱は鎮圧されました。しかし、11月15日には、廃帝司馬奕が廃位され、簡文帝（かんぶんてい）司馬昱が即位。これにより、「咸安（かんあん）」と改元され、「太和」の時代は終わりを告げました。

太和の時代は、東晋の国力が衰退し、政治的な混乱が深まった時期と言えるでしょう。桓温による北伐の失敗や地方での反乱は、東晋の弱体化を象徴する出来事であり、その後の王朝交代へと繋がる伏線となりました。

参考文献

李崇智『中国歴代年号考』（中華書局、2004年）

関連項目

元号一覧 (中国)
他王朝の太和（曖昧さ回避）

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