太微垣

太微垣（たいびえん）は、古代中国天文学において天球を三つの区画に分けた三垣の一つで、上垣にあたります。具体的には、北斗七星より南、星宿・張宿・翼宿・軫宿より北の領域を指します。また、この区画を代表する星官（星座）そのものを指すこともあります。

太微垣は、庭園を囲む蕃垣（かこい）の形を模しており、その中心には五帝座という重要な星官が位置しています。五帝座は天帝の座席を表し、太微垣全体の権威と秩序を象徴しています。

太微垣を構成する主要な星官は以下の通りです。

五帝座: 太微垣の中心に位置し、しし座のβ星（デネボラ）がその中心星です。天帝の座席として、非常に重要な意味を持ちます。
東蕃: 太微垣の東側を囲む四つの星。
東上相: おとめ座γ星。
東次相: おとめ座δ星。
東次将: おとめ座ε星。
東上将: かみのけ座α星。
西蕃: 太微垣の西側を囲む四つの星。
西上相: しし座σ星。
西次相: しし座ι星。
西次将: しし座θ星。
西上将: しし座δ星。
南蕃: 太微垣の南側に位置する二つの星。
左執法: おとめ座η星。
右執法: おとめ座β星。

これらの星官は、太微垣の秩序とバランスを保つ役割を担っており、天上の官僚機構を象徴しているとも解釈できます。また、東蕃と左執法をまとめて「左垣」、西蕃と右執法をまとめて「右垣」と呼ぶこともあります。これは、太微垣を左右に分割して捉える視点を示しています。

太微垣には、上記以外にも様々な星官が存在します。これらの星官は、それぞれ特定の役割や意味を持ち、太微垣全体の構造をより複雑で豊かなものにしています。中国天文学においては、これらの星官の位置や明るさの変化を観察することで、国家の吉凶や人々の運命を占うとされていました。

太微垣は、単なる星の集まりではなく、古代中国の人々の宇宙観や社会構造を反映した、非常に重要な天文学的概念です。その配置や意味を理解することで、古代中国の文化や思想をより深く知ることができます。

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