太陽の家

社会福祉法人太陽の家は、大分県別府市亀川に本部を置く団体です。この法人は、「保護より機会を」「世に心身障害者はあっても仕事に障害はあり得ない」という力強い理念を掲げ、1965年に医師の中村裕によって設立されました。

太陽の家の活動の大きな特徴は、障害者の「自立」を最優先に考え、働く機会の創出に力を入れている点にあります。作家の水上勉や評論家の秋山ちえ子といった文化人の支援に加え、ソニーの井深大氏、ホンダの本田宗一郎氏、オムロンの立石一真氏といった日本の経済界を代表する実業家たちの理解を得て、これらの企業と積極的に連携しました。具体的には、企業と共同出資した会社を複数設立し、そこで障害者が健常者と共に働き、通常の工場で生産されるものと同等の品質を持つ製品を生み出しています。この共同出資方式は、障害者雇用における画期的なモデルとして注目を集めました。ちなみに、「太陽の家」という名称は、支援者の一人であった水上勉氏が名付けたものです。

また、太陽の家は、施設内で完結するのではなく、地域社会との積極的な交流も目指しています。本部がある別府市の太陽の家敷地内には、スーパーマーケットや銀行の支店などが設けられており、これらは地域の住民も自由に利用することができます。これにより、施設内外の人々が自然に交流できる場が生まれ、共生社会の実現に向けた取り組みが進められています。

太陽の家の歩みは、1965年10月の開所から始まりました。翌年には身体障害者授産施設が開所し、1971年には本館が竣工、さらに重度身体障害者向けの授産施設も開設されています。1970年代後半から80年代にかけては、オムロン、ソニー、ホンダ、三菱商事、デンソー、オムロンといった大手企業との共同出資会社が次々と設立され、障害者雇用の場が飛躍的に拡大しました。この時期には、愛知県蒲郡市に愛知太陽の家が、京都府京都市に京都太陽の家が開所するなど、活動範囲も全国へと広がっています。地域交流の拠点となるスーパーマーケット「サンストア」や大分銀行太陽の家支店、コミュニティセンターなども開設されました。

1990年代以降も、通所授産施設の開設や 공동出資会社の追加設立（富士通エフサス太陽株式会社など）が進められました。2000年代に入ると、授産施設の再編成や障害者生活支援センターの開所、簡易住宅「太陽住宅」の購入、障害者相談支援センターの開所など、支援体制の多様化・拡充が進められました。2007年には地域住民も利用できる亀川サンクリニックが開院し、2009年にはスワンカフェ&ベーカリーもオープンしています。2011年にはサンストアが新築移転し、新本館も竣工しました。近年では、2016年に所属選手がリオデジャネイロパラリンピックのボッチャ競技で銀メダルを獲得するなど、スポーツ分野においても障害者の活躍を支援しています。太陽の家は、設立以来一貫して「働くこと」を通じた障害者の自立と社会参加を支援し、地域との共生を目指した多様な活動を展開し続けています。

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