太陽同期軌道

太陽同期軌道：地球観測衛星のための特殊な軌道

太陽同期軌道（SSO）とは、地球を周回する人工衛星の軌道の中でも、太陽光線と軌道面が常に一定の角度を保つ特殊な極軌道です。この特徴により、地球観測衛星にとって非常に有利な観測条件が実現されます。

軌道の仕組み

SSOは、地球の自転と公転を巧みに利用して実現されます。軌道傾斜角を90度よりもわずかに大きく（通常は97度～100度）することで、地球の赤道付近のふくらみによる重力差が軌道面に影響を与えます。この影響によって、軌道面は地軸を中心にゆっくりと回転し、一年かけて一周します。この回転速度が地球の公転速度と同期することで、衛星は毎日ほぼ同じ時刻に太陽光を同じ角度で受けながら地球を観測できるのです。

地球から見ると、SSO上の衛星は毎日同じ時間に同じ太陽高度で地球上空を通過しているように見えます。衛星から見ると、常に太陽光の入射角が一定に保たれます。この安定した観測条件は、地球観測衛星にとって大きなメリットです。

ドーンダスク軌道：常に太陽光を浴びる軌道

ドーンダスク軌道は、SSOの中でも、衛星が毎日午前6時または午後6時に赤道を横切る軌道を指します。この軌道では、衛星は地球の影に入る事がなく、常に太陽光を浴び続けることができます。

太陽光を安定して利用できるため、電力供給が安定し、衛星の熱設計も容易になります。特に、SAR（合成開口レーダー）など、電力消費量の大きいセンサを搭載した地球観測衛星にとって、ドーンダスク軌道は理想的な選択肢となります。

SSOの利点と用途

SSOの安定した観測条件は、様々な地球観測に役立ちます。例えば、以下の用途が挙げられます。

光学観測: 光学センサーを用いた地球表面の観測では、太陽光の入射角が一定であることが重要です。SSOを利用することで、常に同じ条件下で観測を行うことができ、データの比較や解析が容易になります。
電波観測: SARなどの電波センサは、高精度の観測を行うために安定した電力供給が必要です。ドーンダスク軌道は、この条件を満たす最適な軌道です。
気象観測: 気象衛星もSSOを利用することで、毎日同じ時刻に同じ地域を観測でき、気象現象の変化を正確に捉えることができます。
資源探査: 地球資源探査衛星においても、安定した観測条件は高精度なデータ取得に役立ちます。

まとめ

太陽同期軌道は、地球観測衛星にとって非常に有効な軌道であり、その安定した観測条件は、様々な分野での地球観測の精度向上に大きく貢献しています。ドーンダスク軌道はその中でも特に電力供給の安定性が求められる衛星に適した軌道と言えます。 今後も、地球環境や資源の理解を深める上で、SSOは重要な役割を果たしていくでしょう。

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