太陽柱

太陽柱（サンピラー）とは？

太陽柱、またはサンピラー（sun pillar）とは、大気光学現象の一つで、太陽または月、あるいは人工の光源から、垂直に伸びる光の柱のように見える現象です。まるで炎が燃え上がっているかのような、幻想的な光景を作り出します。

発生メカニズム

この現象は、上空に存在する六角板状の氷晶が、太陽光や月光、あるいは街灯などの光を反射することで発生します。風が弱い場合、これらの氷晶は空気抵抗のためほぼ水平に浮かび、その表面で光が反射されます。この反射光が、あたかも太陽や月、光源から伸びる光の柱のように見えるのです。

氷晶は巻層雲や高層雲の中に多く存在するため、これらの雲が発生している際に太陽柱が見られることが多いです。氷晶が均一に分布しているほど、光の柱は鮮明に見えます。逆に、巻雲や巻積雲、高積雲などでは、氷晶の分布が不均一なため、光の柱が途切れたり、ぼやけたりして見えます。

様々な光柱

太陽柱は日出没時に見られることが多いですが、これは太陽の高度が低いと、水平に浮かぶ氷晶によって光が反射されやすいためです。太陽の高度が高い場合は、氷晶を含む雲が地平線よりも下になければ反射光を見ることはできません。そのため、飛行機や高山などからしか観測できません。この場合、現象名は「映日」と呼ばれます。

太陽の代わりに月が光源となる場合は、「月柱」または「月光柱」と呼ばれます。また、地上の街灯などの光を反射して発生する現象は「光柱」または「ライトピラー」と呼ばれ、光源の広がりによって太陽柱や月柱よりも高く見える特徴があります。漁火を光源とする「漁火光柱」は、日本海沿岸などで見られる代表的な例です。光源が複数ある場合は、光源の数だけ光柱が形成されます。

ダイアモンドダストとの関係

氷点下10～20度以下の空気中で発生するダイアモンドダストも、同様の現象を引き起こすことがあります。これは、ダイアモンドダストを構成する氷晶が太陽光を反射するためです。そのため、冬季の北海道など、寒い地域では太陽柱とダイアモンドダストが同時に見られることがあります。

しかし、太陽柱は必ずしも寒い地域や寒い時期だけに見られるわけではありません。夏でも上空に氷晶を含む雲が存在すれば、それらの雲の下に光を遮る雲がなければ、太陽柱は観測可能です。

創作作品との関わり

宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』に登場する「天気輪の柱」は、太陽柱をモチーフとして描かれたとの説があります。物語の中で、主人公ジョバンニを幻想的な銀河鉄道の世界へと誘う、まばゆい光の柱として描かれています。

まとめ

太陽柱は、自然が織りなす神秘的で美しい現象です。日出没時の美しい夕焼け空に現れる光の柱は、見る者の心を魅了します。その発生メカニズムを理解することで、より深くこの現象を楽しむことができるでしょう。また、各地で様々なバリエーションの光柱が見られることも、この現象の面白さの一つです。

もう一度検索