失業保険法

失業保険法

失業保険法（昭和22年12月1日法律第146号）は、かつて日本に存在した社会保障関連の法律です。この法律は、雇用されていた人々が失業という不測の事態に直面した際に、生活上の困難を軽減し、その安定を図ることを主たる目的としていました。具体的には、法律で定められた被保険者が失業した場合に、一定の要件に基づき失業保険金が支給される仕組みが定められていました。

沿革

失業保険法の歴史は以下のようにたどることができます。

1947年（昭和22年）12月1日：戦後の混乱期を経て、失業者の生活保障の必要性から、本法が法律第146号として制定・施行されました。
1955年（昭和30年）8月5日：「失業保険法の一部を改正する法律」（昭和30年法律第132号）が制定されました。この改正により、被保険者の福祉向上を目的とした福祉施設に関する規定が新たに盛り込まれました。
1975年（昭和50年）4月1日：社会経済情勢の変化などを背景に、失業保険法はその役割を終え、廃止されました。同時に、失業保険法の目的を発展的に継承しつつ、より広範な雇用対策を含む新たな法律として、前年の1974年（昭和49年）に制定されていた雇用保険法（昭和49年法律第116号）が施行され、日本の雇用保険制度は新たな段階へと移行しました。

構成

失業保険法は、廃止されるまでに以下の各章で構成されていました。各章は、法律の目的達成のために必要な様々な規定を定めていました。

第1章 総則（第1条-第5条）：法律の目的や基本原則など、全体の根幹に関わる事項が規定されていました。
第2章 適用範囲（第6条-第14条）：この法律が適用される事業所や労働者（被保険者）の範囲について定められていました。
第3章 保険給付（第15条-第27条）：被保険者が失業した場合に受けることができる失業保険金の受給資格、種類、額の算定、支給期間など、給付に関する最も中心的な規定が置かれていました。
第3章の2 福祉施設（第27条の2-第27条の4）：1955年の改正で追加された章であり、被保険者の職業の安定や福祉増進を図るための施設に関する規定が含まれていました。
第4章 費用の負担（第28条-第35条）：失業保険事業の運営に必要な費用の負担に関する規定が定められていました。事業主と被保険者の保険料負担などが含まれます。
第4章の2 特別保険料（第36条-第38条）：通常の保険料とは異なる、特定の目的に充てられる特別保険料に関する規定が置かれていました。
第5章 日雇労働被保険者に関する特例（第38条の2-第38条の11）：日雇労働という特殊な形態で働く人々の被保険者資格や保険給付に関する特別な規定が設けられていました。
第6章 諮問機関（第39条）：失業保険制度の運営に関する重要事項について、厚生労働大臣などの諮問に応じる機関に関する規定が置かれていました。
第7章 不服申立て及び訴訟（第40条-第45条）：保険給付などに関する処分に不服がある場合の行政不服申立てや訴訟の手続きについて定められていました。
第8章 雑則（第46条-第52条）：上記の各章に含まれないその他の規定や細則などがまとめられていました。
第9章 罰則（第53条-第55条）：法律の規定に違反した場合の罰則に関する規定でした。
附則：法律の施行や経過措置などに関する規定が置かれていました。

失業保険法は、日本の雇用保険制度の礎となった重要な法律であり、その理念は現在の雇用保険法にも引き継がれています。

関連項目

雇用保険

外部リンク

* 失業保険法の一部を改正する法律法律第百三十二号（昭三〇・八・五）（衆議院：制定法律）

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