夾竹桃の咲く頃

『夾竹桃の咲く頃』（きょうちくとうのさくころ）は、昭和を代表する歌手、美空ひばりが1966年4月5日に日本コロムビアから発表したシングルです。この楽曲は、作詞を中村メイコ、作曲・編曲を神津善行という、当時から著名な夫婦コンビが手掛けたことで話題となりました。

このシングルは、A面に『夾竹桃の咲く頃』、B面に『いい子だから』を収録しています。両曲ともに中村メイコが作詞、神津善行が作曲と編曲を担当しており、夫婦ならではの息の合った作品となっています。

特に『夾竹桃の咲く頃』は、美空ひばりの晩年においても重要な楽曲の一つとして位置づけられます。1989年2月7日に福岡県北九州市で行われた生涯最後の公演では、この曲が『髪』、『さよならの向うに』といった、同じく中村・神津夫妻の作品とともに披露されました。この公演は、ひばりのラストコンサートになるとは予想されていなかったため、映像記録は残されていません。しかし、幸運なことに、専属バンドの指揮者であったチャーリィ脇野が、バンドの音響チェックのためにカセットテープに録音しており、その貴重な音源が2005年にCD化され、ファンの間で広く聴かれることとなりました。このCDは、ひばりの生の声と演奏を捉えた非常に貴重な記録として、今もなお大切にされています。

この楽曲が収録されたシングルは、1966年の音楽シーンを彩った作品の一つであり、美空ひばりの歌唱力と表現力、そして中村・神津夫妻の卓越した音楽センスが融合した、まさに時代を代表する名曲と言えるでしょう。また、夾竹桃という花が持つ独特の美しさと、その儚さが歌詞とメロディーに込められており、聴く人の心に深く響く作品となっています。

関連事項として、このシングルがリリースされた1966年は、音楽界にとって重要な年であり、様々なジャンルの音楽が生まれた年でもあります。また、楽曲名にもある夾竹桃は、美しい花を咲かせる一方で、毒性を持つ植物としても知られています。この花が持つ両面性が、楽曲のテーマに深みを与えているとも解釈できます。

美空ひばりの数多くの楽曲の中でも、この『夾竹桃の咲く頃』は、彼女の歌声と表現力を堪能できるだけでなく、昭和の歌謡曲の魅力を今に伝える作品として、長く愛され続けているのです。

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