奇しき薔薇の聖母

奇しき薔薇の聖母：イタリアにおける聖母の出現と奇跡

奇しき薔薇の聖母（Rosa Mystica）は、聖母マリアの称号の一つであり、「恵みに満ちた方」という意味に加え、「悪魔を打ち破る方」という力強い意味合いも持ちます。この称号は、1947年から1983年にかけて、イタリアのモンティキアーリとフォンタネッレで、看護師ピエリーナ・ジリに繰り返し出現した聖母に用いられました。

モンティキアーリでの出現

1947年の春、モンティキアーリの病院で勤務していたピエリーナは、紫色のドレスに白いベールを身につけた聖母マリアの出現を経験します。聖母の胸には3本の剣が突き刺さっていました。その後も聖母は繰り返しピエリーナの前に現れ、様々なメッセージを伝えました。

最初の出現から、聖母は全人類、特に聖職者たちへの特別な保護を約束し、聖職者への忠実な奉仕と聖なる生活の重要性を訴えました。また、毎月13日を聖母の日、毎年7月13日を「奇しき薔薇の聖母」を祝う日、10月13日を全世界のための償いの聖体拝領の日、そして12月8日の正午を全世界のための許しの時間とするよう指示しました。

出現の際には、聖母はしばしば奇跡を起こしました。難病の治癒や、身体的・精神的な苦しみからの解放などが報告されています。また、聖母はピエリーナに、特別なメダイのデザインを伝えました。メダイには聖母が階段の上に立って手を合わせている姿が描かれ、聖母の頭上と足元にバラが、周囲には「Rosa Mystica」と「MARIA MATER ECCLESIAE」の文字が刻まれています。

フォンタネッレでの出現

モンティキアーリでの出現から10年以上後、フォンタネッレでも聖母の出現が始まりました。ここでは、聖母はピエリーナに癒しの泉を示し、慈善事業を行うよう促しました。また、聖母は毎年10月3日に償いの聖体拝領を行うこと、そして小麦を聖体のパンとして焼き、ファティマに届けるよう指示しました。

その後の出現とメッセージ

1960年代以降も、聖母はピエリーナに繰り返し出現し続けました。出現を通して、聖母は人々への祈りや償いの大切さ、教会の改革の必要性を訴え続けました。聖母はピエリーナに、聖母像を巡礼させることを指示し、巡礼の際には聖母自身が出現し、人々を祝福しました。

奇跡と教会の反応

モンティキアーリとフォンタネッレでの出現に際しては、多くの奇跡が報告されています。難病の治癒、事故からの生還、悪魔祓いなど、様々な奇跡が、多くの証言によって伝えられています。

カトリック教会の反応は複雑でした。地元の司教の中には、出現の正当性を認める者もいましたが、教皇庁は公式な見解を示していません。しかし、歴代教皇は個人的に祝福を与えたり、奇しき薔薇の聖母への信仰を推奨するなど、間接的に出現を支持する行動をとっています。

まとめ

奇しき薔薇の聖母の出現は、聖母マリアの信仰と奇跡、そして教会の役割について、多くの問いを投げかける出来事でした。多くの奇跡とメッセージは、人々の信仰を深め、社会への償い、そして教会の改革を促す力となりました。この出来事の真偽は別として、数多くの証言と奇跡の報告は、人々の信仰心の深さと聖母マリアへの揺るぎない信頼を示しています。 現在もなお、奇しき薔薇の聖母への信仰は世界中で多くの人々に受け継がれています。

もう一度検索