奈良市立富雄第三中学校

奈良県奈良市帝塚山南二丁目に所在する公立中学校が、奈良市立富雄第三中学校（ならしりつとみおだいさんちゅうがっこう）です。この学校は、地域の教育を担う重要な存在として位置づけられています。

学校の概要と特色

富雄第三中学校は、2011年4月1日に、既に設置されていた奈良市立富雄第三小学校と施設を一体化させた、全国でも珍しい形態の小中一貫校として開校しました。これは、小学校と中学校が同じ敷地、同じ建物内で教育活動を行うことで、円滑な接続と一貫性のある指導を目指すものです。比較的新しい学び舎であり、2021年には開校から10周年を迎え、その歴史を積み重ねています。

学校規模としては、生徒数がおよそ200名、教職員数がおよそ20名となっており、県内の中学校としては少人数体制で運営されています。この少人数制は、生徒一人ひとりの顔がよく見え、個々のニーズに寄り添った、より丁寧で細やかな教育指導を可能にしています。

学校の象徴である校歌は、作詞を寮美千子氏が、作曲を山﨑香世氏が手掛けており、生徒たちに歌い継がれています。

教育理念と目標

富雄第三中学校が教育活動の柱とするのは、「人権尊重の精神」です。この精神をすべての教育活動の基盤に置き、子どもたちが未来に向かって力強く生きていくための確かな土台を築くことを目指しています。具体的には、「確かな学力」「豊かな心」「健康でたくましい体」という三つの要素をバランス良く育むことに重点を置いています。

このような教育理念のもと、学校が育成を目指す具体的な「子どもの像」として、以下の3点が掲げられています。

自ら進んで学び、物事を深く論理的に考えられる子ども
自分自身を大切にし、他者への共感や思いやりを持てる心豊かな子ども
心身ともに健やかで、活気に満ちた明るい子ども

また、これらの子ども像を育むための「学校像」としては、生徒一人ひとりの個性や能力が認められ、大切にされる安全・安心な環境を提供しつつ、基礎学力から応用力まで「確かな学力」が確実に身につく学校を目指しています。加えて、家庭や地域社会との緊密な連携・協働を通して、学校と地域が共に発展していくことを理想としています。

さらに、これらの目標達成を支える上で不可欠な「教職員像」としては、生徒に深い愛情を持って接し、生徒自身の自己肯定感や受容感を高めることのできる教職員、常に自己の指導力や人間性の向上を目指して研鑽を惜しまない教職員、そして保護者や地域住民と積極的に連携・協働し、開かれた学校づくりに貢献する教職員を理想としています。

生徒の活動

生徒たちは学業に励む傍ら、様々な部活動や年間を通して行われる学校行事にも積極的に参加し、充実した学校生活を送っています。

部活動
部活動は運動系と文化系に分かれており、生徒の多様な興味関心に応じた選択肢が用意されています。
運動部には、軟式野球部、サッカー部、男子バスケットボール部、女子バスケットボール部、男子硬式テニス部、女子硬式テニス部、バレーボール部などがあります。日々の練習を通して技術向上や体力向上を目指し、チームワークを育んでいます。
文化部としては、吹奏楽部、クラフトデザイン部、パソコン部などが活動しており、それぞれの分野で創造性や専門性を磨いています。

* 年間行事
年間を通して、生徒たちの成長を促し、学校生活に彩りを加える様々な行事が企画されています。1学期には、4月に新入生を迎える入学入部式や、新入生が学校生活に慣れるための新入生歓迎会が行われます。6月には中学校生活の大きな思い出となる修学旅行が実施され、7月には生徒たちが主体的に学校運営に関わる生徒総会が開催されます。例年6月には生徒たちの音楽の才能を発表する場である音楽会も計画されていますが、現状では中止となっています。
2学期は、文化的な活動の成果を発表する9月の文化祭と、小学校と合同で行われる10月の運動会が二大行事として盛り上がります。特に小中合同運動会は、小中一貫校ならではの連携を示す行事です。
3学期の締めくくりは、卒業生を送り出す3月に行われる卒業式です。

沿革

奈良市立富雄第三中学校の歴史は、2011年4月1日に富雄第三小学校との施設一体型小中一貫校として開校したことに始まります。開校月である同月24日には、学校の誕生を祝う開校記念式典が盛大に挙行されました。開校翌年の2012年には、学校の象徴となる中学校の校旗が3月に完成し、4月28日には新しい学校施設の完成を祝う竣工記念式典が行われました。教育内容についても活発な研究が進められ、同年11月10日には奈良市における小中一貫教育の研究発表会会場となりました。そして、同月30日には、生徒たちが学校への誇りを持つよりどころとなる校歌が正式に制定されました。小学校と中学校が連携を深める取り組みとして、2013年4月11日からは小中合同での入学式が実施されるようになりました。学校の歴史における大きな節目である最初の卒業生を送り出したのは、2014年3月15日の第1回卒業証書授与式でした。その後も本校は教育界からの注目を集め、2016年1月19日には小中一貫教育全国サミットの会場となるなど、先進的な教育実践の場としても活用されています。また、2017年10月27日には全国社会科教育研究協議会の研究大会会場としても利用されました。

周辺環境

学校は、奈良市内の帝塚山南という地域に位置しており、周辺には教育施設が集積しています。近隣には、小中一貫教育を共に進める富雄第三幼稚園があるほか、帝塚山大学東生駒キャンパスや近畿大学農学部といった高等教育機関も見られます。また、奈良市立富雄中学校や三碓小学校といった他の学校も比較的近い距離に存在しています。

通学区域が隣接する中学校は、奈良市内の富雄南中学校、富雄中学校に加え、隣接する市からも生徒が通学する可能性があり、生駒市からは生駒中学校、緑ヶ丘中学校、大瀬中学校が、大和郡山市からは郡山西中学校が挙げられます。

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