奈良市部落解放同盟員給与不正受給事件

奈良市部落解放同盟員給与不正詐取事件

奈良市環境清美部に勤務していた職員が、2001年からの5年9カ月の間にわずか8日しか出勤しなかったにもかかわらず、約2700万円の給与を満額で受け取っていた不正事件が発覚しました。この職員は、部落解放同盟奈良県連合会古市支部長や奈良県連合会統制委員、さらには奈良市支部協議会副議長を務めており、多くの影響力を持っていた人物でした。

この間、彼は病気を理由に欠勤していましたが、実際には頻繁に奈良市役所を訪問し、自分の妻が代表者となっている建設会社の営業活動に従事していたとのこと。彼は解放同盟の名前を利用して仕事を依頼することもあり、市役所側に圧力をかけていたと報じられています。結果として、市は彼を懲戒免職とし、他の市職員61人にも処分を行いました。

さらに、この職員の自宅兼建設会社が不法に公営住宅を増築していたことも明らかになり、奈良市はこの問題の全容を調査せざるを得ませんでした。

部落解放同盟奈良県連は、この職員が奈良市の職員であるとは知らなかったと釈明し、その責任を回避しようとしました。しかし、事実は、彼が解放同盟の幹部であったことが他の職員の認識や行動に影響を与えていたことです。市職員たちは、彼の影響力を避けることが難しかったと証言しています。

この職員は、2006年8月には高級外車の白いポルシェで市道の段差にぶつかり、補償を求めて市役所に赴いていたとされ、その行動はさらなる疑念を呼びました。

入札制度改革による圧力

報道によると、この職員は入札制度改革において、市側に対して「（解放同盟との交渉に）質問させてもらわなあかん」と圧力をかけ、そのことで改革が延期される事態を引き起こしました。入札担当者は「圧力を感じた」と証言し、奈良市がこの問題に対処できなかったことに対する無力感を述べました。部落解放同盟奈良県連は「事実関係を調査し厳正に対処する」とコメントしたものの、具体的な行動はありませんでした。

他の職員の長期欠勤

さらに調査が進む中で、他の男性職員も長期欠勤を行っていたことが明らかにされ、環境清美部では欠勤者が特に多いとの指摘も受けていました。2002年には外部監査が実施され、環境清美部の欠勤者数が異常であるとの報告がされていたにも関わらず、奈良市はこのことに対処しなかったとされています。特に2006年には多くの職員が一斉に休業し、被害を受けた市民や市のサービスに影響が出ました。

懲戒免職と解放同盟からの除名

事件の結果、2006年10月27日に奈良市は当該職員を懲戒免職とし、他にも市長や上司、合計27名に減給などの処分を下しました。市長の藤原昭は、「部落解放同盟の幹部であったことが、市職員の意識にも影響を及ぼした」と認めたことが記者会見での発言として報じられています。同日、部落解放同盟も「名誉を著しく毀損した」として、問題の職員を除名しました。

医師の証言とその後

この職員が病欠する際に診断書を出していた奈良市の医師は、報道に対して「彼の要求に従わざるを得なかった」と証言しました。彼は数多くの診断書を発行しており、その背後には強い圧力があったと述べています。この病院を訪れる奈良市の他の職員たちも多かったため、診断書を出すことに関して医師たちは困惑していたようです。

事件のその後、奈良市は2007年4月にこの職員を相手に給与返還を求める民事訴訟を起こしましたが、その結果回収できたのは微々たる金額に過ぎず、謝罪の言葉も得られなかったという報道がなされています。乏しい財産しか持たないこの職員は、全く誠意を見せない状態が続いています。

この事件は、行政の信頼性や部落解放同盟の実態問題、そして民間企業との関わり方においても大きな教訓となる出来事でした。

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