奈良日日新聞

奈良日日新聞の歴史と変遷

奈良日日新聞は、奈良県で発行されていた地方紙です。その歴史は古く、1898年（明治31年）に日刊紙『奈良新聞』として創刊されました。しかし、現在の奈良新聞とは異なる系列です。1941年（昭和16年）には、第二次世界大戦による新聞統制のため、『中和新聞』『大和日報』と経営統合し、『奈良日日新聞』と改題されました。この時代には、奈良県の主力県域新聞としての地位を確立していました。

度重なる休刊と復刊

1954年（昭和29年）には一度休刊しましたが、同社の社員であった杉田信義らが日刊紙『新奈良日』を創刊し、1962年（昭和37年）に再び『奈良日日新聞』に改題しました。この間、同社は不動産事業にも進出し、近畿大学の誘致やマンション事業などが成功を収めました。しかし、バブル景気崩壊後、新聞事業の赤字を補填するために不動産事業を拡大したことが裏目に出て、経営が悪化しました。2005年（平成17年）11月30日には再び休刊に追い込まれます。

しかし、競合紙である奈良新聞のオーナー、西島謹二氏が中心となり、2006年（平成18年）8月に新会社「奈良日日新聞社」が設立され、同年10月27日に復刊を果たしました。さらに、2009年（平成21年）1月21日には日本新聞協会にも加盟しました。

週刊への移行と奈良新聞との統合

復刊後も経営は安定せず、2010年（平成22年）7月10日に日刊紙としての発行を終了し、週刊紙『WEEKLY Naranichi』として再出発しました。同時に、奈良新聞社と営業などの一部業務を統合し、日本新聞協会も退会しました。2013年（平成25年）8月9日には、再び題号を『奈良日日新聞』に戻しましたが、2019年4月5日にはデジタル化の進展や紙媒体の衰退を理由に、奈良新聞と業務統合し、4月26日付の紙面をもって休刊（事実上の廃刊）となりました。発行元の法人自体は存続し、奈良新聞などの広告代理店として事業を継続しています。

紙面構成と特徴

復刊後の日刊紙としての紙面は、原則としてブランケット判で、毎日8ページ建てでした。1面と最終面はカラー印刷で、地域密着型の県域情報やニュースを掲載し、1行10字の読みやすい文字を採用していました。テレビ番組表も掲載されていましたが、週刊誌移行後は掲載を取りやめています。掲載されていたテレビ局は、NHK（総合・教育）、近畿広域圏を放送対象地域とする民放各局、奈良テレビ放送、テレビ大阪、NHK（BS1・BSプレミアム）、WOWOWプライムでした。

その他の情報

かつては大和西大寺駅南側に本社ビルを構えていましたが、廃刊時の本社所在地は奈良市法華寺町の奈良新聞社・本社内でした。配達エリアは奈良県内および京都府相楽郡で、その周辺地域（大阪府の近鉄奈良線沿線を含む）の駅売店やコンビニエンスストアでも販売されていました。

奈良日日新聞は、その歴史の中で様々な変遷を遂げましたが、奈良県民にとって重要な情報源の一つでありました。その終焉は、地方紙のあり方やメディアの変革について考えさせられる出来事と言えるでしょう。

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