奈良林直

奈良林 直のプロフィール

奈良林直（ならばやし ただし）は、1952年に東京都で生まれた日本の工学者です。現在、東京工業大学先導原子力研究所の特任教授を務めており、同時に北海道大学の名誉教授でもあります。彼の専門領域は原子炉工学であり、工学博士の学位を保有しています。

学歴とキャリアの歩み

奈良林は1971年に千葉県立千葉高等学校を卒業した後、1972年に東京工業大学工学部機械物理工学科に入学しました。1978年に大学院の原子核工学修士課程を修了し、同年に東芝に入社しました。ここでは原子力事業本部原子力技術研究所に配属され、原子炉の安全性に関する研究を行いました。

1991年には東京工業大学から工学博士の学位が授与され、以降は東芝の原子力技術研究所で主査として活動し、2000年には電力・産業システム技術開発センターの主幹に就任しています。2004年には日本機械学会の動力エネルギーシステム部門長に就任し、2005年から北海道大学大学院工学研究科で助教授の職を務め、その後教授に昇進しました。2018年からは東京工業大学先導原子力研究所の特任教授として、原子炉安全工学の研究を進めています。

研究分野

彼の研究は主に、原子炉の免震構造や異常を自動的に検知するシステムなどの原子炉安全工学、さらには惑星間航行のための原子力推進宇宙船に関するもので、多岐にわたる技術革新を追求しています。これらの研究は、原子力の安全性向上を目指すものであり、学際的な視点から取り組まれています。

受賞歴

奈良林は2018年、北米のISOE ALARAシンポジウムにおいて「Outstanding Professor of the Year Award」を受賞しました。この受賞は、彼の研究と教育に対する貢献が評価された結果です。

公共の場での発言と見解

2008年には、北海道電力が主催する講演会でプルサーマルの必要性と安全性について講演し、2011年にはテレビ朝日の番組『サンデースクランブル』に出演し、プルトニウムが人体に与える影響について言及しました。彼は239プルトニウムを飲み込んだ場合の致死量を32gと指摘しています。

その後、彼は「原子力村」の一員としてSAPIOから批判され、「御用学者」としてレッテルを貼られたことについても語っています。また、国家基本問題研究所の客員研究員としても活動しており、日本エネルギー会議の発起人の一人でもあります。

2020年には、国基研のウェブサイトに『学術会議こそ学問の自由を守れ』というタイトルの記事を掲載。この中で、防衛省の安全保障技術研究推進制度に選定された北海道大学の研究に対し、日本学術会議の幹部が研究辞退を強要したと主張したものの、後にその内容は誤りであったと訂正されています。

奈良林直は、原子力に関する幅広い知識と深い洞察を持つ研究者として、今後も原子炉安全やエネルギー政策についての重要な議論をリードすることでしょう。

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