奉天会戦

奉天会戦の概要

奉天会戦（フォンティエンかいせん）は、1905年2月21日から3月10日まで、中国遼寧省の奉天で行われた日露戦争における最後の大規模な会戦です。この戦闘は、日露戦争全体の結末を左右する重要な событий でありました。日本とロシアの双方で60万人以上の兵士が参加し、全体で18日間にわたって激しい戦闘が繰り広げられました。日本側の指揮官は大山巌、ロシア側はアレクセイ・クロパトキンが務めました。

背景

当時、ロシア帝国はシベリア鉄道の整備が進行中でしたが、国内では血の日曜日事件による混乱が続いていました。クロパトキンは国内の不安定な状況にもかかわらず、約100万人を動員していましたが、その忠誠心は薄れていました。一方、日本軍は緒戦において危うい勝利を重ねながらも、補給の限界に直面し、戦闘が続く中で兵站の維持が困難を極めていました。

それでも、奉天では日本軍が有利なうちに講和の構想を描くため、満洲の地での総力戦に挑むことが決まりました。大山は、「今日は戦役の関ヶ原になる」と決意を示しました。

会戦の経過

前哨戦（2月21～28日）

ロシアは当初、日本軍の左翼を攻撃する計画を立てていましたが、2月21日、日本最右翼の鴨緑江軍がロシア軍を攻撃し、清河城を攻略しました。日本軍の夜襲はロシア側の夜襲に対抗しきれず、対抗戦力に乏しい鴨緑江軍は攻撃に苦しんでいました。そうした中でも、第一軍は一定の成果を上げることができました。

包囲作戦（3月1日～5日）

日本軍は3月1日から奉天に対して包囲攻撃を本格的に開始します。最初に左翼を攻撃し、両翼を圧迫した後、正面へと大規模な攻勢を展開する計画でしたが、ロシア側からの厳しい反撃を受け、予想以上に困難な状況が続きました。砲撃の効果が十分に出ない中、日本軍は作戦の変更を余儀なくされ、ロシア軍の退路を遮断するための包囲攻撃を命じました。

一方、ロシア軍は日本軍の少数の攻撃を想定して予備軍を投入。あまりの戦力差に日本軍は進展を欠いていました。

後退戦術と決戦主義（3月6日～8日）

ロシア軍は徐々に後退を始めるものの、戦闘は激しく、両軍ともに壊滅的な損害を被りました。日本軍はリーダーシップの欠如と兵員不足の中、急激に士気が低下していきます。児玉源太郎満洲軍参謀長はついに総力戦からの方針転換を決意し、前線の指導者たちを奉天へと前進させました。

会戦の結末（3月9日～10日）

3月9日、ロシア軍は後退を計画し、次第にその姿勢が見え隠れします。後退は混乱をもたらし、ロシア軍はほぼ秩序を失う事態となり、3月10日、日本軍は無人の奉天に進入しました。総力戦を抱えた日本軍は守備線を突破し続け、結果的に勝利を手にしたものの、多大なる被害を受けていました。日本側の死傷者は約75,000人、ロシア側も約90,000人が死傷したと見られます。

奉天会戦の意義

奉天会戦の結果はロシアの士気を大いに低下させ、戦局が変わるきっかけとなりました。日本軍の勝利は日露戦争における非常に重要な局面となり、奉天制圧により、国際社会では日本の勝利として広く認識されることとなります。これによって、日露講和の道が開かれていくことになります。

その後、アメリカの仲介により講和が成立し、日露戦争は公式に終結しました。日本は国際的な地位を高め、新しい動乱期へと突入していきました。

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