奥山かずお

奥山かずお

奥山かずお（1939年11月11日 - 2010年4月4日）は、日本の児童文学作家です。本名を奥山一夫といい、日本児童文芸家協会の会員として活動しました。

生涯

1939年、奥山かずおは樺太で生を受け、その後旭川市で育ちました。幼少期に読んだ『ロビンソン・クルーソー』に感銘を受け、児童文学の道を志すようになります。海への深い愛着から、海辺の町である根室市へ移り住み、若い頃から創作活動に励み、北方領土をテーマにした歌などの作詞も手掛けました。

1979年、『木の上の少年』で講談社児童文学新人賞の佳作を受賞。これは児童文学界における登竜門として知られる賞です。1981年には、北海道放送（HBC）制作のテレビドラマ『鮭を待つ少年』の原作を担当しました。しかし、その後は執筆に行き詰まる時期が続きます。奥山自身は当時を振り返り、「作品が評価されたことで慢心し、思うように書けなくなった」と語っています。

転機が訪れたのは、北方領土に生息する勇猛なトドの写真を目にしたことでした。この写真に触発され、長年構想を温めていた物語を、わずか10日ほどで一気に書き上げました。それが、2000年に小川未明文学賞の大賞を受賞した『のどしろの海』です。当時、奥山は創作活動の傍ら、北方四島交流センターで警備員として勤務していました。

2003年には、『のどしろの海』のアニメ映画化企画が持ち上がりましたが、実現には至りませんでした。2009年、『のどしろの海』は中国語に翻訳され、『紅色的海』というタイトルで台湾で出版されました。この知らせは、病と闘っていた奥山に新たな創作意欲をもたらしたといいます。しかし、2010年4月4日、肺がんのため根室市内の病院で永眠しました。70歳でした。

主な作品

木の上の少年
第20回講談社児童文学新人賞佳作受賞作品。
鮭を待つ少年
北海道放送（HBC）制作のテレビドラマ。1981年3月7日に「北方領土返還キャンペーンドラマ」として単発放映。
ああ故郷は海の彼方に
北方領土の歌。根室市音楽協会発行の『ねむろの唄 : 唄でつづる根室の歴史』に収録。
のどしろの海
絵：ひらのてつお。学研教育出版より2001年に刊行。第9回小川未明文学賞大賞受賞。知床を舞台に、少年の成長を描いた物語。2009年には台湾で『紅色的海』として翻訳出版。
夏色のかなしみ
学習研究社より2001年に刊行。「ちょっとセンチメンタルな少年少女の物語」と評されている。
創作 金色のゴン
『児童文芸』第47巻第7号（2002年12月）に掲載。

奥山かずおの作品は、海や自然、そして故郷への深い愛情に満ちています。その作品は、読む人々の心に温かい光を灯し、故郷を想う気持ち、人と人とのつながりの大切さを教えてくれます。

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