奥能登に吹く殺意の風

『奥能登に吹く殺意の風』は、西村京太郎氏による推理小説であり、十津川警部シリーズの一作として知られています。初版は1994年4月に光文社からカッパ・ノベルスとして刊行され、その後、光文社文庫や講談社からも版を重ねています。

物語は、警視庁の十津川班に所属する北条早苗刑事が、能登への旅行中に突如としてライフルで狙撃される場面から始まります。当初、人違いによる誤射かと思われたこの事件は、意外な展開を見せます。早苗が宿泊していた家の娘、田村真理子が片山津温泉で溺死体として発見されるのです。さらに、犯人からの挑発的な電話が十津川班に入り、早苗の殺害予告が告げられます。

同時期、東京の国立市では、バス爆破事件が発生し、早苗の同僚である清水刑事を含む4人の刑事が犠牲となります。一見無関係に見えるこれらの事件の背後には、複雑な陰謀が隠されていることが明らかになっていきます。

十津川警部は、これらの事件を繋ぐ糸口を見つけ出すため、独自の推理を展開していきます。能登と東京で起きた事件、そして犯人の真の狙いは一体何なのか？ 物語は、読者を飽きさせないスリリングな展開と、巧妙に張り巡らされた伏線で彩られています。西村京太郎氏ならではの緻密なトリックと、十津川警部の鋭い推理が光る、傑作ミステリーです。

登場人物

十津川警部：警視庁の敏腕刑事。冷静な判断力と鋭い推理力で事件の真相に迫る。
北条早苗：十津川班の刑事。能登で狙撃される。
清水刑事：十津川班の刑事。バス爆破事件で死亡。
田村真理子：早苗が宿泊していた家の娘。片山津温泉で溺死体で発見される。

本作は、地方の美しい風景描写と、都会で発生する事件の対比が印象的です。また、人間関係の複雑さや、事件の背後にある社会的な背景も描かれており、単なるミステリーとしてだけでなく、読み応えのある作品となっています。

もう一度検索