奥谷謙三

奥谷謙三：実業家としての生涯と、その一族

奥谷謙三（1926年-没年不明）は、日本の実業家として知られています。神戸不燃板工業の創業者であり、元社長を務めました。その功績は、単なる事業成功にとどまらず、家族へと受け継がれた政治家としての活躍にも繋がっています。

戦後からの起業

兵庫県出身の奥谷謙三氏は、1942年に兵庫県立三田農林学校（現：兵庫県立有馬高等学校）を卒業後、兵役を経て、梱包材料業を創業しました。戦後の復興期に、自ら事業を興し、経済界に貢献した彼の起業家精神は注目に値します。

神戸不燃板工業の設立と発展

1951年、奥谷氏は断熱・遮音・脱臭効果を持つ木繊セメント板を製造する「大池木毛工業」を設立し、社長に就任。その後、社名を「神戸不燃板工業所」、「神戸不燃板工業」と改称しながら事業を拡大しました。木繊セメント板は、建築業界において高い需要があり、神戸不燃板工業は成長を遂げました。ピーク時には、年間売上高約2.6億円に達したとされています。

家族の政治家としての活躍

奥谷謙三氏の家族には、政治家として活躍した人物がいます。長男の奥谷通氏は、自由民主党衆議院議員を2期務め、兵庫県議会議員も2期務めました。さらに、奥谷謙三氏の孫にあたる奥谷謙一氏は、弁護士として活躍後、兵庫県議会議員を3期務めています。このように、奥谷家は事業だけでなく、政治の分野においても重要な役割を果たしました。

会社の破産とその後

近年、神戸不燃板工業は、売上不振による資金繰り難に陥り、2024年2月9日に破産手続き開始を決定しました。官庁の建築工事減少、新型コロナウイルス感染拡大の影響による工事延期や中止が、経営悪化の大きな要因となりました。負債総額は約1.5億円にのぼるとされ、かつての盛況とは対照的な終焉を迎えました。

奥谷謙三氏の足跡

奥谷謙三氏は、戦後の混乱期から事業を興し、成功を収めた実業家でした。彼の会社は、一族郎党で発展させてきましたが、時代の変化や不測の事態には対応しきれず、破産に至りました。しかし、その経営手腕や、家族の政治家としての活躍は、日本の経済界と政治界に大きな足跡を残したと言えるでしょう。奥谷謙三氏の生涯は、日本の高度経済成長期から現代までの変化を反映した、一つの物語として記録されるべきです。

奥谷謙三氏に関する情報源

産経新聞年鑑局 編『産経日本紳士年鑑 第9版 上』産経新聞年鑑局、1970年
人事興信所 編『人事興信録 第34版 上』人事興信所、1987年

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