奥野修司

奥野修司

奥野修司（1948年7月5日 - ）は、大阪府出身のジャーナリストであり、ノンフィクション作家として知られています。立命館大学経済学部を卒業後、移民史研究者・評論家の藤崎康夫氏に師事し、南米における日系移民の調査に携わりました。

帰国後はフリージャーナリストとして活動を開始し、女性誌などを中心に執筆活動を展開。そのジャーナリストとしての才能は、数々の受賞歴によって証明されています。1998年には、「28年前の『酒鬼薔薇』は今」（文藝春秋）で第4回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞を受賞。2006年には、『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で第27回講談社ノンフィクション賞と第37回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しました。同年には、高校生首切り殺人事件を扱った『心にナイフをしのばせて』もベストセラーとなり、8万部を超える実績を記録しています。

奥野氏の作品の特徴は、徹底した取材に基づいた深い洞察力と、社会の様々な問題に真摯に向き合う姿勢です。「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」は25年、「ナツコ 沖縄密貿易の女王」は12年という長期間にわたる取材を経て完成しており、その粘り強さと探求心には目を見張るものがあります。

2011年の東日本大震災の取材を通じて、被災児童のメンタルケアの必要性を痛感した奥野氏は、支援金を募り、子どもたちを沖縄でのホームステイに招待する「ティーダキッズプロジェクト」を立ち上げ、被災地の復興支援にも積極的に取り組んでいます。また、2014年からは大宅壮一ノンフィクション賞の選考委員（雑誌部門）を務めています。

著書は多岐にわたり、政治、事件、医療、食糧問題、皇室など、幅広いテーマを扱っています。

主な著書

『小沢一郎　覇者の履歴書』（1994・データハウス）
『ねじれた絆　―赤ちゃん取り違え事件の十七年―』（1995・新潮社　2002・文春文庫）
『隠蔽　―父と母の〈いじめ〉情報公開戦記―』（1997・文藝春秋）
『皇太子誕生』（2001・文藝春秋　2006・講談社文庫）
『ナツコ　―沖縄密貿易の女王―』（2005・文藝春秋　2007・文春文庫）
『心にナイフをしのばせて』（2006・文藝春秋　2009・文春文庫）
『満足死　―寝たきりゼロの思想―』（2007・講談社現代新書）
『花粉症は環境問題である』（2008・文春新書）
『それでも、世界一うまい米を作る　―危機に備える「俺たちの食糧安保」―』（2009・講談社）
『放射能に抗う　―福島の農業再生に懸ける男たち―』（2013・講談社文庫）
『沖縄幻想』（2009・洋泉社、新書ｙ）
『不登校児　再生の島』(2012・文藝春秋）、新版『再生の島』（2015・文春文庫）
『看取り先生の遺言　がんで安らかな最期を迎えるために』（2013・文藝春秋）
『「副作用のない抗がん剤」の誕生　がん治療革命』文藝春秋、2016
『魂でもいいから、そばにいて　3･11後の霊体験を聞く』（2017・新潮社）
『ゆかいな認知症　介護を「快護」に変える人』（2018・講談社現代新書）
『天皇の憂鬱』(2019・新潮新書）
『マコクライシス　―「眞子さんの乱」で見えた皇室の危機 ―』（2022・日刊現代）
『極秘資料は語る　皇室財産』（2022・文春新書）
『認知症は病気ではない』（2024・文春新書）


奥野修司は、現代社会の複雑な問題に真摯に向き合い、その実態を深く掘り下げて読者に届ける、稀有なジャーナリスト・ノンフィクション作家と言えるでしょう。

もう一度検索