奮起湖弁当

奮起湖弁当

奮起湖弁当（ふんきこべんとう）は、台湾の嘉義県竹崎郷中和村の奮起湖で発祥した名物駅弁です。かつては駅で直接販売されていましたが、現在では奮起湖老街の周辺にある飲食店やホテルで購入できます。観光客にとって、美味しい食事を楽しみながら阿里山訪問の思い出にもなるため、多くの人に愛されています。

歴史

奮起湖弁当のルーツは、日本統治時代の台湾にまでさかのぼります。当時、台湾各地の駅では露天商が弁当を即売しており、奮起湖駅は特に重要な拠点でした。この駅は、阿里山森林鉄道の一部で、初期の特急列車は嘉義駅から阿里山まで7時間もかけて運行していました。そのため、奮起湖は列車の運行上、機関車の給水や乗務員の休息地点としても重要で、昼食を求める需要が高まりました。

戦前には駅そばなどの軽食が販売されていましたが、戦後には林務局の福利委員会が従業員向けに弁当を提供するようになり、地元の店舗で調理されたものを調達するスタイルが確立されました。1960年代中頃、中興号列車が阿里山線で運行を開始すると、奮起湖の食堂から弁当を届ける業者が現れ、一気に観光客が奮起湖弁当を求めるようになりました。ピーク時には、1日に2,000個が売れ「奮起湖弁当を食べなければ阿里山に行ったことにはならない」と言われるほどの人気を誇りました。

しかし、1980年代に阿里山公路が開通すると、鉄道の利用者が減少し、弁当の販売数も激減しました。1日に20個未満という厳しい状況となりましたが、阿里山線が観光鉄道としての再生を遂げるとメディアに取り上げられ、2002年からはファミリーマートやセブンイレブンとの提携により、全国での販路拡大が実現しました。この取り組みにより、再び弁当の需要が高まり、2003年には50周年記念版の弁当が登場し、1日6,000食が販売されるほどの盛況を迎えました。

進化と現在

奮起湖弁当の容器も、時代と共に変化してきました。初めは金属製で保温効果が高かったのですが、現在では木製や紙製のものが使用されています。これにより、研究開発が進み、視覚的な楽しみや環境への配慮も考えられています。

さらに、7-Elevenが販売する「奮起湖雞腿握便當」というおにぎりが新たに登場するなど、奮起湖弁当から派生したメニューも展開されています。

奮起湖弁当は、単なる食事に留まらず、観光名所や地域文化を象徴する存在です。今後も多くの人々に楽しまれ続けることでしょう。

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