女子ーズ

概要

2014年6月7日に公開された日本映画で、監督および脚本は福田雄一が手がけました。本作は、世界征服を企む怪人たちに立ち向かう正義の戦隊「女子ーズ」として、ひょんなことから招集された個性的な女性5人組の活躍を描く特撮コメディです。監督自身の身近な経験から着想を得たというこの物語は、従来の戦隊ヒーローものに見られるお決まりのパターンを意図的に崩し、登場人物たちの日常やリアルな感情をユーモラスに織り交ぜた点が大きな特徴となっています。彼女たちが直面するのは、怪人との戦いだけでなく、仕事、恋愛、美容、そしてメンバー間の人間関係といった現実的な悩み。これらの要素が、単なるヒーローアクションに留まらない、独特なコメディタッチを生み出しています。

本作のコスチュームデザインは漫画家の島本和彦が担当しており、その縁で映画公開に合わせて『月刊ヒーローズ』に島本氏による読み切り漫画が掲載されました。この漫画版では、映画に登場する司令官チャールズが島本氏の別作品『ヒーローカンパニー』の関連人物として描かれるなど、ユニークなクロスオーバーが試みられています。

また、本作のキャスティングも公開当時から大きな注目を集めました。主演の桐谷美玲をはじめ、後に数多くのCMやドラマで活躍することになる山本美月、NHK連続テレビ小説で主演を務める有村架純や高畑充希といった、当時ブレイク前夜または人気上昇中だった豪華な若手女優たちが集結したことから、「メンバーが豪華すぎて続編製作は不可能だろう」とまで言われるほどでした。しかし、時を経て2024年公開の福田雄一監督作品『聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメン VS 悪魔軍団〜』において、新たなキャストによる「新生女子ーズ」が登場し、再び話題を呼んでいます。

あらすじ

物語は、謎の司令官チャールズによって突如として集められた5人の女性たちの戸惑いから始まります。彼女たちが選ばれた理由は、「名字に色が入っている」という何ともいいかげんなものでした。そうして「女子ーズ」として任命されたのは、真面目な会社員・赤木直子、ギャル系アパレル店員・青田美佳、苦労人のフリーター・黄川田ゆり、大根役者の劇団員・緑山かのこ、そして令嬢・紺野すみれです。地球の平和を守るという大役を押し付けられ、最初は全く乗り気ではなかった5人ですが、リーダーシップを発揮しようとする赤木の説得もあり、しぶしぶ戦隊を結成することになります。

女子ーズは5人揃った時に放つ必殺技「女子トルネード」で怪人たちを撃退していきますが、私生活が多忙を極める彼女たちは、次第に全員で集まることが困難になっていきます。恋愛、仕事、美容、あるいは単なる野暮用を優先して集合が遅れたり欠席したりするため、司令官チャールズからは頻繁に小言を言われます。そんな中、赤木は長年追い求めてきた美術館建設プロジェクトのプレゼンテーションという絶好の機会を得ます。ヒーロー活動よりも自身の夢を優先した赤木は、怪人退治を他のメンバーに任せてプレゼンに挑み、見事に成功させますが、これをきっかけに他の4人との間に軋轢が生じ、女子ーズとしての活動から距離を置くようになってしまいます。

しかし、女子ーズを離れて仕事に邁進する赤木でしたが、何かが満たされず、仕事も恋愛もうまくいかない日々を送ります。久しぶりにチャールズからの指令を受けた赤木は基地へ向かい、自身が不在の間も残りの4人が奮闘していたことを知らされ、改めて仲間との絆や女子ーズとしての使命を思い起こします。ちょうどその頃、かつてないほど強力な怪人メタルゴードンが現れますが、赤木への不満から他の4人は集まろうとしません。赤木は街へ飛び出し、それぞれが抱える問題を解決に導きながらメンバーを再び結集させます。遅れて到着した5人は女子トルネードでメタルゴードンを倒しますが、怪人は巨大化してしまいます。窮地に陥った彼女たちのために、チャールズは巨大ロボット「女子ーズ・ロボ」を出動させるのでした。

物語の最後では、赤木が手がけた美術館建設プロジェクトが順調に進み、私生活も充実している様子が描かれます。平和な日々が続くかと思われた矢先、新たな怪人が出現し、赤木は一人現場へ急行します。他のメンバーが集まらない理由を悟った赤木は、それでも一人で立ち向かうのでした。それは、「女子とはそういうものだから」という、どこか達観したフレーズと共に締めくくられます。

登場人物

赤木直子（女子・レッド）: 物語の中心人物で、豊島建設に勤める真面目な会社員。美術館建設という大きな夢を追っています。女子ーズのリーダー的な存在ですが、自身の夢とヒーロー活動の間で葛藤します。演じたのは桐谷美玲。
青田美佳（女子・ブルー）: アパレルショップでアルバイトをする今時のギャル。美容へのこだわりが強く、怪人退治よりも自分磨きを優先しがちです。気まぐれながらも、赤木不在時には他のメンバーをまとめることもあります。演じたのは藤井美菜。
黄川田ゆり（女子・イエロー）: 複数のアルバイトを掛け持ちする苦労人のフリーター。弟の学費を気にかけるなど責任感が強い一方、ほとんど笑わないクールなキャラクターです。鋭いツッコミで周囲を和ませます。唯一、変身シーンが描かれました。演じたのは高畑充希。
緑山かのこ（女子・グリーン）: アングラ劇団に所属する女優志望。本人は演技派を自称していますが、実際には大根役者でろくな役がもらえません。演じたのは有村架純。
紺野すみれ（女子・ネイビー）: 大財閥の令嬢で、多くの男性から言い寄られる美人ですが、その男性の好みは他のメンバーが思わず引いてしまうほど独特です。女子ーズの中で最も長身です。演じたのは山本美月。
チャールズ: 女子ーズを率いる司令官。いいかげんな言動が多く、メンバーからはあまり信頼されていませんが、なんだかんだで彼女たちをサポートします。演じたのは佐藤二朗。

スタッフ・キャスト

監督・脚本は福田雄一。コスチュームデザインは島本和彦。主要キャストとして、桐谷美玲、藤井美菜、高畑充希、有村架純、山本美月が女子ーズを演じ、司令官チャールズを佐藤二朗が演じました。その他、安田顕、ムロツヨシなど、福田組常連の個性的な俳優陣も多数出演しています。

主題歌

主題歌はE-girlsの「A S A P」。オープニングテーマは浪川大輔が歌う「女子ーズのテーマ」です。

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