好きだ、

好きだ、

作品概要

『好きだ、』（英題: Su-ki-da）は、2003年に撮影され、2005年に製作された日本映画です。石川寛が監督を務めたこの作品は、一組の男女の17年間にわたる揺れ動く恋愛模様を描いた人間ドラマであり、第1回ニュー・モントリオール国際映画祭ではコンペティション部門に出品され、監督賞を獲得するという国際的な評価も得ました。日本では2006年2月25日に劇場公開されています。

ストーリー

物語の核となるのは、青春時代を過ごす二人の男女、ヨースケとユウの関係性です。いつも同じ場所でギターを弾いているヨースケと、彼に秘かな想いを寄せる同級生のユウ。二人は互いに心を惹かれ合っているにもかかわらず、肝心な「好きだ」という言葉を口にすることができません。彼らの感情は、時に近づき、時に複雑に絡み合い、すれ違いを繰り返します。思春期特有の繊細な心の動きが瑞々しく描かれる中、やがて一つの哀しい出来事が訪れ、それは二人の関係に決定的な断絶をもたらします。この悲劇によって、彼らの交流は途切れてしまうのです。

それから17年の歳月が流れます。大人になった34歳のヨースケとユウは、期せずして東京の地で偶然の再会を果たします。かつて言葉にできなかった想いと、過去の出来事が、時を経て再び彼らの間に静かに立ち現れます。

構成

本作は、二人の主人公の約17年間の関係性を追うために、二部構成で展開されます。物語の前半にあたる17歳篇では、主にユウの視点から思春期の切ない感情や出来事が描かれます。そして後半の34歳篇では、視点がヨースケに移り、大人になった彼らの再会とその後の静かな時間が綴られます。この視点の変化により、それぞれの内面や過去の出来事に対する異なる捉え方が浮き彫りになり、物語に深みを与えています。

キャスト

物語を彩るキャストには、実力派俳優陣が名を連ねています。17歳篇のユウを宮崎あおいが、ヨースケを瑛太が演じ、思春期の揺れる感情を表現しています。一方、17年後の34歳になったユウを永作博美が、ヨースケを西島秀俊が演じ、成熟した大人の落ち着きの中に過去の影を宿した姿を見せています。その他、ユウの姉を小山田サユリが演じたほか、酔って道に倒れていた女性・虎美役で野波麻帆、通りすがりの若い男役で加瀬亮、学校の先生役で大森南朋といった個性豊かなキャストが出演し、物語に広がりを与えています。

撮影背景

本作のロケーション撮影は、物語の舞台設定に合わせて行われました。青春時代を描く17歳篇の主要な撮影は、2003年9月に秋田県大館市で実施されています。二人が再会する17年後、34歳になった姿を描くパートは、翌2004年の1月以降に東京都内で行われました。また、映画のエンドロールで使用される重要なシーンは、2004年2月に再び秋田県大館市を訪れて撮影されています。美しい地方の風景と都市の対比が、時間の経過と登場人物の歩みを象徴的に描き出しています。

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