妙見の森リフト

妙見の森リフト：歴史と終焉

兵庫県川西市に位置する妙見山。その山頂へ、長きに渡り人々を運んできた「妙見の森リフト」が、2023年12月3日をもってその歴史に幕を閉じました。本稿では、このリフトの歩みと、廃止に至った経緯を詳しく解説します。

戦前からの歴史

妙見山へのアクセス手段として、戦前には「妙見鋼索鉄道」がケーブルカーを運行していました。しかし、戦時中に不要不急線として廃止され、資材は供出されました。戦後、能勢電鉄によって再整備される計画が持ち上がり、建設費などを考慮した結果、リフトとして再出発することとなります。この際に、戦前のケーブルカー路線がカーブを描いていたため、リフトの直線的な構造との兼ね合いから、現在の起点である「ふれあい広場」の位置が決定されました。これは、妙見の森ケーブルのケーブル山上駅から徒歩5分ほど離れた場所となります。

1960年8月27日、能勢電気軌道（現在の能勢電鉄）によって「妙見リフト」が開業。その後、1989年には「展望公園前」、1993年には「妙見の水広場前」と駅名が変更され、2013年には「妙見の森リフト」に改称、駅名も「ふれあい広場」へと改められました。

営業形態と利用状況

妙見の森リフトは、全長580m、高低差88mの路線で、ふれあい広場と妙見山山頂の2駅を結んでいました。運賃は大人片道400円、往復800円、小児片道200円、往復400円（2021年3月20日改定）と設定されていました。冬期は年始や、能勢妙見山でお火焚き祭りが行われる2月11日を除いて運休。2022年3月からは、祝日と行楽期を除く水曜・木曜が定休日となっていました。

しかしながら、近年は利用者の減少が著しく、大規模な更新投資が必要となる状況にも関わらず、その費用対効果が見込めないと判断されました。

廃止の決定と最終日

これらの状況を踏まえ、能勢電鉄は2023年6月23日、妙見の森リフトの営業終了を発表。当初は2024年6月を予定していましたが、その後、最終営業日を2023年12月3日に繰り上げることが発表され、同日をもって営業を終了しました。妙見の森ケーブルやバーベキュー施設なども合わせて、妙見の森関連事業は全て終了しました。

まとめ

妙見の森リフトは、長い歴史を持つ交通手段として、多くの人々に利用されてきました。しかし、時代の変化や利用状況の減少により、その役目を終えることとなりました。この廃止は、地域の観光に少なからず影響を与えるものと考えられ、新たな観光資源の開発などが課題として残されています。リフトが運行されていた期間、多くの思い出が作られたことでしょう。その歴史は、人々の記憶の中にしっかりと刻まれています。

もう一度検索