妙高大橋

妙高大橋（みょうこうおおはし）は、新潟県妙高市内を走る国道18号が、太田切川を渡る地点に架けられた重要な構造物です。

この橋の歴史は、現在の新しい橋の架け替え事業によって大きく二つの時代に分けられます。最初に供用が開始された旧橋は、1972年（昭和47年）に完成しました。しかし、完成から約40年が経過した2009年（平成21年）に行われた橋梁の補修作業の際に、深刻な問題が発見されました。

発見された問題とは、橋の主構造であるコンクリート桁内部に配置されているPC（プレストレストコンクリート）ケーブルが、上面から浸入した水の影響で腐食し、一部が破断しているというものでした。この状況を受け、橋の安全性を一時的に確保するための緊急・応急的な対応が実施されました。これには、補強用の追加ケーブルの設置、橋の表面からの水の浸入を防ぐための防水処理の徹底、さらには高精度な機器を用いた橋梁の状態の常時監視、そしてPCケーブルの健全性を定期的にチェックする調査などが含まれ、これらの対策によって当面の交通安全は維持されました。

しかし、供用開始から間もなく50年を迎えようとする中で、旧橋の老朽化は顕著となり、応急的な措置だけでは将来的な安全性を保証することが困難であると判断されました。そこで、恒久的な安全性確保と橋梁機能の維持・向上を目的として、新しい橋への架け替え事業が計画されました。この「妙高大橋架替事業」は、2012年度（平成24年度）に正式に事業化され、妙高市内の二俣地区から坂口新田地区までの約1.1キロメートルの区間が事業対象となりました。

新しい妙高大橋の建設工事は、旧橋の西側およそ70メートルの位置で、2013年度（平成25年度）から始まりました。約8年間の工期を経て、2021年（令和3年）8月3日に待望の開通を迎え、車両の通行は全て新しい橋へと切り替えられました。

旧橋は老朽化が進んでいたため、特に総重量が44トンを超えるような特殊な大型車両に対しては、2020年（令和2年）2月12日から通行が規制されていました。しかし、安全性の高い新橋の開通に伴い、この特殊車両に対する通行規制は解除され、よりスムーズな物流が可能となりました。

今回の妙高大橋架替事業の総事業費は、新しい橋の建設費用に加えて、役目を終えた旧橋の撤去費用を含めて約70億円が見込まれています。旧橋は、新橋の供用開始後の2022年度（令和4年度）以降に本格的な撤去作業が行われる予定です。

新旧の妙高大橋の主な仕様を比較すると、旧橋は橋長300.0メートル、幅員9.0メートル（車道7.5メートル、歩道1.5メートル）で、橋格は一等橋（TL-20）でした。これに対し、新橋は橋長203メートル、幅員11.5メートル（車道9.0メートル、歩道2.5メートル）となっています。新橋は旧橋よりも橋長は短くなっていますが、車道、歩道ともに幅員が拡幅され、通行する車両や歩行者にとって、よりゆとりのある快適で安全な空間が提供されています。

なお、この妙高大橋のすぐ近くには、国道18号に並行して走る上信越自動車道も太田切川を渡っており、こちらに架かる橋は「太田切川橋」と呼ばれています。

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