妹 (曲)

妹（いもうと）

「妹」は、日本のフォークグループ、かぐや姫が1974年6月10日にリリースした通算7枚目となるシングル曲です。

この楽曲は、彼らの代表的なヒット曲である「神田川」「赤ちょうちん」に連なる「四畳半三部作」の最終章を飾る作品であり、またグループが一旦解散する前に発表された最後のシングルとしても記憶されています。

楽曲情報と制作背景

シングルとして発表された「妹」は、アルバム『かぐや姫LIVE』に収録されているバージョンとは異なり、スタジオで新たにレコーディングされた音源が使用されています。

作詞は、それまでのヒット曲「神田川」「赤ちょうちん」に引き続き、喜多条忠が手掛けました。喜多条自身の実際の体験が歌詞の基になっていると言われています。

作曲は南こうせつ、編曲は瀬尾一三が担当しました。楽曲の大きな特徴として、一般的な楽曲にあるイントロが存在せず、歌い出しから始まる独特のアレンジが挙げられます。これは編曲を担当した瀬尾一三の発案によるものです。

歌詞については、制作時に興味深いエピソードが残されています。喜多条忠から送られてきた詞は、意図した文字数よりも少なかったといいます。しかし、締切が迫る中で喜多条と連絡を取ることが難しかったため、作曲者の南こうせつが自ら歌詞を付け足し、完成させたのです。この南による加筆について、喜多条が正式に了承したのは、彼が亡くなるわずか二週間前に南が見舞った際だったと後に明かされています。

商業的な成功と影響

シングル「妹」は商業的にも大きな成功を収め、累計で60万枚を超える売り上げを記録しました。これは、かぐや姫が当時の日本の音楽シーンにおいて、いかに大きな人気と影響力を持っていたかを示す数字と言えるでしょう。

また、楽曲の人気を受けて、1974年には同名のタイトルで映画化も実現しました。主演は女優の秋吉久美子が務め、こちらも話題となりました。

さらに、この楽曲は時代を超えて多くのアーティストにカヴァーされています。これまでにカヴァーを発表した主なアーティストには、中条きよし（1975年）、ティン・パン・アレー（1977年）、アイドルグループのいもうと（2004年）、松山千春（2006年）、木根尚登（2007年）、ケイタク（2009年）、西方裕之（2010年）、坂本冬美（2014年）、やなわらばー（2015年）、島津亜矢（2015年）などが名を連ねています。多様なジャンルのアーティストによって歌い継がれていることからも、「妹」が持つ普遍的な魅力がうかがえます。

近年では、元乃木坂46のメンバーであった衛藤美彩が、テレビ番組の企画内で、自身の結婚披露宴で実の兄に歌ってほしい曲として「妹」の名前を挙げたことでも話題となりました。

収録曲

シングル盤には以下の2曲が収録されています。

1. 妹 （4:12）
作詞：喜多条忠
作曲：南こうせつ
編曲：瀬尾一三
2. 夏この頃
作詞：伊勢正三
作曲：山田つぐと
編曲：瀬尾一三

「妹」は、かぐや姫の軌跡を語る上で欠かせない一曲であり、日本のフォークソング史においても重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

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