姉川地震

姉川地震

姉川地震（あねがわじしん）は、1909年8月14日15時31分に滋賀県北東部の姉川付近を震源とし、マグニチュード6.8の内陸直下型地震が発生しました。この地震は滋賀県と岐阜県を中心に大きな被害を引き起こしました。専門家の間では、姉川地震は旧国名の近江国と美濃国に由来して江濃地震（こうのうじしん）とも呼ばれています。

概要

この地震は、滋賀県から福井県にかけて北北西方向に延びる柳ヶ瀬断層に関連していると考えられています。地震により、現在の滋賀県長浜市では最大震度6を記録し、滋賀県全域では震度4から震度5も観測されました。さらに、東北地方南部から九州地方の一部にかけても有感地震が感じられました。

被害状況

姉川地震は直下型地震であったため、震源に近い滋賀県や岐阜県が特に大きな被害を受けました。中でも滋賀県の東浅井郡虎姫村（現・長浜市）は激しい被害に見舞われ、人的被害としては死者17名、負傷者53名が確認されました。また、同村では全戸数991戸のうち284戸が全壊、518戸が半壊するなど、大規模な損壊が発生しました。

山崩れも70箇所で見られ、伊吹山の一部が崩落しました。加えて、姉川河口では川底が数十メートルも沈降し、琵琶湖では高さ1.8メートルの波が押し寄せました。三角洲地域では6箇所から泥水が2.5メートル噴出する変化も観察されています。

長浜市周辺は被害が特にひどく、全体の家屋が9割近く壊れた地域があった一方で、数百メートル離れた地区では被害状況が全く異なることも報告されています。これは、その地域の地盤構造に起因するもので、地震波が特定の地盤で増幅されたと考えられています。具体的には、「馬の背」状に浅くなる部分と、すり鉢状の地形との関係が悪影響を与えました。

参考文献

• - 滋賀県彦根測候所（1911年）『滋賀県姉川地震調査報告』

外部リンク

• - 明治四十二年姉川地震調査報告
• - 彦根地方気象台
• - 松山紀香ら（1991年）「姉川地震震害地域と地盤環境」
• - 岡田篤正（2004年）「柳ケ瀬断層南部における第四紀後期の累積変位量」
• - 坂井公俊ら（2005年）「姉川地震による被害地域における重力探査」

このように姉川地震は、地震研究の重要な事例であり、地盤や断層の理解を深めるための貴重なデータを提供しています。

もう一度検索